日本で進む放射能大量死 ―憂慮すべき一大事―
ー総務省統計「人口動態調査」から年間15万人が放射線で命を絶たれていることが見えてくるー
日本の総人口の変化を例にとって論じますと、最近の人口動態調査では図1に示す変化をしています。3.11を境界にしてまさに異常な人口減少率が明瞭となっています17)。
図1 人口動態調査(クリックで拡大)
2008年以前の変化をもとに2010年から後の人口を推定すると丸印のついた直線となります(http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2014np/index.htm図1参照)。この直線の傾きは「少子老齢化による人口減少」と呼ばれる推定曲線で、1年あたり9.24万人の減少を予測します。ところが3.11原子炉爆発以降の実際の人口減少は年あたりにして予想曲線の2.7倍に当たる24.9万人が1年間で減少します。このようなある時点で物事がクリティカルに変化する時、この境界線で何が生じたかを探り、科学的にも合理的理由と見なされる場合にそこで生じた事柄が変化の原因と考えられます。実に放射能による過剰減少は年間15.5万人に計算できるのです。これだけの人が放射能起因で命を落としているのです。
図2は2002年に多死社会として推計された長期予想の出生数と死亡数です20)。この予想曲線からは決して図4の3.11を堺とする急激な変化は、死亡率にも出生率にもありません。図1の3・11以降の急激な減少はまさに放射能公害の影響によると考えざるを得ません。
この中で出生率の変化を示す曲線がありますが、2005年から2020年の間は直線的に減少し1年で14500人づつ出生者が減少します。この値を上記年間24.9万人の人口減少に当てはめ、年間死亡増加数を求めると23万4500人となります。これを時の総人口127.5百万人で除すると年間の相対的死亡増加率が求まる。相対的年間死亡増加率は0.18%です。
図2 長期予想出生数・死亡数 (クリックで拡大)
3.11以後の急激な人口減少が放射線によることを裏付けるもう一つの資料を上げます。図3にはチェルノブイリ事故後のベラルーシにおける死亡率を示します。放射能汚染の濃いところも薄いところも含めて事故後にほぼ直線的に死亡率が上昇していることが分ります。

図3 チェルノブイリ事故後のベラルーシにおける死亡率の経年変化(ヤブロコフ:チェルノブイリの被害の全貌、日本語訳:岩波出版)
このグラフは1000人当たりの死亡者数で示されています。原発爆発直後の死亡率は重汚染地区で1.2%、ベラルーシ全土で1.0%。9年後の1995年で2.0%、1.3%とそれぞれなります。チェルノブイリ事故後の重度汚染地域とベラルーシ全土で1年あたりの死亡者増加率を求めると0.087%、0.041%とそれぞれ求められます。3.11以後の日本の年間死亡者増加率はベラルーシの年間死亡増加率の2.1倍(重度汚染地域)から4.4倍(ベラルーシ全土)と高いものです。
これらは絶対値の比較ではなく、1年あたりの死亡者増加率の比較であります。ベラルーシの死亡率の1年あたりの増加率は汚染が強いところほど高い(勾配がきつい)のが一般的傾向です。
福一からの放射能の放出はチェルノブイリに比較して4.4倍多いとされます。さらに爆発規模がチェルノブイリは上空6000メートルに及ぶ規模の爆発、福一はいずれも100メートル規模であり、放射能拡散の規模が圧倒的にチェルノブイリの方が広いのです。すなわち日本では日本に降下する割合がチェルノブイリ周辺に比較して非常に多いのです。そのような事情が死亡率の1年あたりの増加率が日本の方がはるかに高い原因であると思われます。
日本では放射能放出の規模が隠され、放射能起因の健康被害が一切否定され、老齢化で予想される人口減少の2.7倍も高い総人口減少率が隠されています。 公的機関が何も考察を施さないのは、「一体何が日本で起きているのか」、日本の不気味さを象徴しているように思います。「多死社会」のキャンペーンは現状の人口減少が全て老齢化に見せようとしているまさに虚偽の宣伝を伴っています。現実は老齢化社会の2.7倍の減少が3.11を境界に始まっているのです。 放射能の被害は実に隠しやすいのです。放射能で特徴的に現れる病気もあります。白血病やがんが知られています。でもその患者さんが放射能によるものだという臨床医学的な証拠は得られません。放射能の影響は統計的に疫学的調査により浮き彫りにされます。でもそれは「大切な人が病気になってから」、「大切な人が亡くなってから」はっきりしてくるのです。なんとも悲しいことです。国や行政に「一人一人を大切にする」やさしい心(民主主義の社会はそれを前提にする大切な観点です)が無いと予防医学的医療が適用されて、人々の命が大切にされることがないのです。腎臓が弱い人々には腎臓病による死亡率が上昇します。肝臓が悪い人には肝臓病での死亡率が上昇します。あらゆる健康面で放射能は健康状態を悪化させ、死亡率を上昇させます。それですからごまかしやすいと言ったら、これ以上のことはありません。放射能ほど為政者が人権を大切にするか、あるいは権力主義・功利主義で人格権を犠牲にするかで民の幸せ状況が決まるものは無いでしょう。民が防護されるかあるいは遺棄されるか決まるのです。日本はあまりにひどい状況でしょう。 それにしても、日本で生じているこの事実隠蔽は、歴史に残る徹底した棄民思想です。日本の植民地的「主権国家」が人権の上に国家権力や企業の営業を置く功利主義によることを放射能公害の現状を見れば一目瞭然です。立憲民主主義と逆転した政治理念は戦争法、憲法改定、TPP,沖縄の辺野古・高江等あらゆるところに現れています。戦争ができる国家づくりと功利主義が、他のあらゆる分野とともに人権破壊として現れます。
放射能公害被災者に人権の光を! 原発事故避難者に公的支援を求める会 http://okinawahinansha.wixsite.com/houshanou-kougai 矢ヶ崎克馬(発起人・代表) 署名送り先:〒903-0116 沖縄県中頭郡西原町幸地586−8
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参考文献等
17)人口推計 平成26年3月20日 総務省統計局 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201403.pdf
20)小谷みどり:死をめぐるわが国の現状 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/note/notes0304.pdf