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第139号 被爆体験者・黒い雨二次訴訟原告に人権の光を!

第139号 被爆体験者・黒い雨二次訴訟原告に人権の光を! 原発事故避難者通信

皆々様

お元気でお過ごしですか?

桜の便りも聞こえてきました。

いよいよ春ですね。

(黒い雨広島高裁判決後の政府姿勢)

黒い雨訴訟で広島高裁判決は、明瞭に内部被曝を認めるという科学と人道に基づく画期的な判断を致しました。

しかし大問題は、国は広島で負けてもなお、『内部被ばくの影響を認めたわけじゃない』との立場を崩していません。

「『黒い雨』や飲食物の摂取による内部被曝の健康影響を、科学的な線量推計によらず、広く認めるべきとした点については、これまでの被爆者援護制度の考え方と相容れないものであり、政府としては容認できるものではありません(菅義偉首相(当時))」。

政府は、内部被曝を否定する:最終判決で否定された「認定疾病11

種」に罹患していることと、「黒い雨に打たれていること」を相変わらず「新基準」としており、内部被曝を否定した差別を強行継承しているのです。

広島では第二次『黒い雨』訴訟が提起されました。

長崎被爆体験者は、一回目の訴訟を第一陣、第二陣とも決定的な敗訴を重ねた上、二回目訴訟を行なっております。

その判決が本年9月9日に行われます。

現実に生じた被曝を認めさせる原爆被災者の人生を貫いた訴えを是非勝訴で迎えたい!最も根源的な平和・反核運動です。

(最大の問題点:内部被曝の否定は「援護法」から)

国が固執している「内部被曝の否定」の根拠とする被爆者援護法の最大の問題は、被曝を外部被曝のみに限定し内部被曝を除外していることです。

(火球の放射能を広範囲に拡散したメカニズム:水平に広がる円形原子雲)

被爆者カテゴリーの①直接被爆者(地域指定)②入市被曝者は、爆央から届くガンマ線と中性子線による外部被曝に限定されていることです。

黒い雨訴訟広島高裁判決は広域に放射能が拡散されたメカニズムにも立ち入った判断を下しました。

内部被曝をもたらす放射性降下物の範囲は低空に同心円的に広がる原子雲によります。

これは黒い雨裁判で広島高裁が下した判決に「重要な科学的仮説」と明瞭に肯定して記述されています。

黒い雨の地域が既に沢山の方々・市民の皆様により明らかにされていますが、黒い雨及びその雨域周囲が、放射能を含むことが科学的考察により裏打ちされたとする判決は初めてなのです。

水平に広がる原子雲は廣島でも長崎でも写真あるいはスケッチにより明瞭に確認されています。

(何故薄い雲から降雨があるのか?放射能を含むのか?)

火球の後の高温気団は放射能満載で急上昇致しますが、その後尾に当たるきのこ軸は放射能が取り残されて高放射能となるのです。

同心円的に広がる水平原子雲は高々4km程度にあった逆転層で水平に展開致しました。

きのこ軸の中心から半径方向に温度の勾配があり、温度の低い外周部が逆転層を突破できなく、次々と下から上昇してくるきのこ軸外周辺の気流に押されて水平に広がるのです。

積乱雲等と比較すれば「薄い」この雲は、最多核分裂生成物のセシウム137の1000万倍ほどの強い放射能を含みます(投下後数時間程度まで)。

強烈な電離(水分子などの電子を吹き飛ばす)作用があり.多湿だった空中の水分が電離され、水分子同士が電気的に引き合い水滴・雨滴として凝結し、雲となり雨滴となって降雨をもたらします。

この原理は放射線の飛跡を見る「桐箱」として応用されています。

積乱雲のように「高さが上昇して「飽和蒸気圧」露点より温度が下がる」こと無しで、大量な水滴・雨滴が生じるのです。

放射能抜きの通常の気象学では理解できない放射線の電離効果が、雲を形成し、さらに降雨として現象されたのです。

形状的には、広島では大瀧慈広島大学名誉教授ら及び増田善信博士らが市民アンケートにより解明した「大雨雨域とその移動」をよく説明できるものです。

核分裂した核爆弾筐体程度の空間的範囲であった小さな「火球」中の放射能が、何故半径15km

程度の広範囲にまで広がったのか、という物理的メカニズムを明快に説くものです。水平原子雲無しには説明できません。

水平に同心円的に広がる原子雲は半径15km程に展開致しました。

(重要な科学的仮説)

広島高裁判決では上記の矢ヶ﨑克馬説明を「重要な科学的仮説」と評価し判決の科学的根拠として取り入れています。

ちなみにチェルノブイリ事故後のチェルノブイリ法の汚染地域判定では明瞭に「内部被曝」を含みます。

これが科学的な到達点です。

(長崎は気温が高く、湿度も少なかった:降雨は無くとも放射能環境)

長崎では気温が高く降雨中の雨滴が蒸発(気化)して地表近くでは雨が消えるという気象条件があり、降雨の域は広島より遙かに小さいのですが、半径15km

程度の空間域を猛烈な放射能環境に包んだことには変わりはありません。

水に含まれ、野菜果物の表面に付着し、飲食を通じて人体内部に取り入れられた放射性降下物が深刻な内部被曝を生じさせました。

半径15kmくらいまでは雨が降っても降らなくとも放射能環境となります。

ですから『科学的に判断されるべき』被曝の地域指定は初期放射線による外部被曝と放射性降下物による内部被曝を含めなければなりません。爆心地から15km

くらいまでの範囲とすべきです。

それに伴って被爆者カテゴリーの2号被爆(入市被爆)範囲も改正されるべきです。

被爆体験者地域は当然含まれます。

黒い雨に打たれなくともその周辺地域では強烈な内部被曝をする環境にあったのです。

本当は、マンハッタン調査団の調査結果にもありますように、原子雲自体が風に流されますので放射性降下物の範囲は風下域広範囲に広がり、被爆者、被曝者は大変な数に及びます。

(DS86の虚偽は科学的粉飾)

日米政府は「被爆者医療法(1957年)」の被曝範囲が内部被曝抜きで決定されたことの後追い証明として「DS86」(放射線被曝線量体系1986

年)の第6章として放射性降下物をまとめました。現場保存がなされいない「定量的に無意味な」残留放射能を測定させたのです。

米軍は被爆後4

週間で長崎も広島も両方を襲った枕崎台風の大量降雨・大洪水後に土壌測定を一斉にやらせて、辛うじて残っていた放射能を「初めからこれしか無かった」としました。

広島では床上1mの大洪水が爆心地周辺を洗い流しました。長崎の降雨量は広島を凌ぎ、残留放射性物質を海へと流しました。

この様に『科学的』にも専門家を動員して「内部被曝は無い」という偽証の一大イベントが行われたのです。

このアメリカの情報操作「知られざる核戦争」に日本政府は全面的に乗っかって、被爆者医療法・被爆者援護法を作ったのです。原爆被災者が差別され分断された悲しい法律・政令が走ってしまったのです。

水平に広がる原子雲の解明はこれらの虚偽を見事に一掃する科学的事実なのです。

政府は科学的にも人道的にも過っている「内部被曝無し」の見解を改めるべきです。

(内部被曝を否定する代わりに精神的ストレス原因論を展開)

第二の重大問題は、政府は実際の被曝被災者が内部被曝で蝕まれている健康状態を「あなたたちは被曝していません。被爆したのではないかという精神的ストレスが疾病を生むのです」と説明し、わざわざ「被曝体験者」と命名したのです。

最近PTSD などと事後(被爆後)の精神状態のことを言い逃れ的に持ち出してガンの部分的認定等をしていますが、被爆体験者・黒い雨周辺在住者は事後にPTSD

が起ころうが起こるまいが、被曝しているのです。

肝心なことは、米国及び日本政府など(国際原子力ロビー)が原爆投下後及び核実験後、原発事故後、現在まで一貫して被曝後の疾病、死亡を被曝ではなく精神的ストレス原因だとしていることです。

チェルノブイリ原発事後の疾病認定に重松逸造氏が「精神的ストレス」論を展開して、原子力ロビーは甲状腺ガンを除いて一切の疾病を精神的ストレス原因だとしているのです。

東電福島原発事故では、「*放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人にはきません。くよくよしている人にきます*

。」(山下俊一氏(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)いわき市、福島市講演会)と虚偽キャンペーンを張ったことは周知の事実です。

体調不良の原因を、被曝によるのではなく精神的ストレスだとしているのです。

この様に被曝事象を外部被曝だけにして、一貫して「内部被曝否定」していることが政府の最大罪悪なのです。

この最初の犠牲者が原爆被災者なのです。被爆体験者・黒い雨周辺在住者なのです。

内部被曝を認定しないことは永遠に原爆被災者を差別することです。

焦点は実際に被曝している原爆被災者を「被曝していない」ことに仕立て上げる屁理屈として、精神的ストレスを言っているのです。

事後に於いては、被爆体験者は「被曝したのでは無いか」という事後の精神的後遺症が疾病を引き起こしているのではないのです。実際に被爆・被曝

しているから健康被害生じているのです。健康被害が生じる虞があるのです。

ちなみに疾病に罹患していることが被爆者認定の条件では無く、広島判決に述べられているように「健康被害を生じる虞のある」状態に置かれた(被曝している)ことです。

被爆者寿命調査の結果である「LSS14

」では、がんを罹患する「最も確からしいしきい値はゼロで有る」という恐ろしい結果を導いているのです。これが事実なのです。

長崎被爆体験者だけでなく広島黒い雨被爆者も現在の障壁は、

現政府が最終判決を受けたにも拘らず、依然として内部被曝認定を拒否していることです。法治国家ならば、政府は当然最終判決「黒い雨広島高裁判決」に従うべきです。

「内部被曝を認定しない」姿勢を批判し打ち破らないと差別は永遠に続くのです。

どうか皆様、

法廷でのたたかいをご支援ください。

激励の連絡先

長崎 諫早総合法律事務所<info@isahayasogo.com>,

広島 広島法律事務所 弁護士竹森雅泰*<**takemorism@sea.plala.or.jp*

文責 矢ヶ﨑克馬 2024年4月2日








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