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避難者通信59号 2019年3月11日

東電福島原発事故より8年経ちました。

福島県内から避難した皆様、

福島県以外から避難した皆様、

また、放射能汚染された地域に居住する皆様

どれほどの苦渋と心身のストレスがあったのか計り知れません。

この8年間良く耐えてこられました。良く頑張りましたね。

残念ながら、この間命を落とした方が多数いらっしゃいます。

ご冥福をお祈りいたします。

本日のテーマは8年を見る視点をどう定めるかです。

「社会的・経済的」基準で牛耳られてきました。

「社会的・経済的」基準を人権に基づく科学的基準に変化させましょう。

汚染地内外の被災者同士が対立するのではなく共通の人格権を守る

共通基盤を明確にし、被ばく被害を無くし原発を廃棄する共同行動を実現しましょう!

被曝問題に限ってお話ししようと思います。

チェルノブイリ法は住民を保護する精神で作られた法律ですが、

事故後5年目に成立しました。同じ事故後5年目で日本は「帰還制限区域」などを縮小し、

避難者の住宅支援を停止しました。ここに巨大な日本の壁が存在します。棄民という壁です。

この間日本の住民の「放射被曝線保護」は進んだのでしょうか?

(1)日本の住民は「社会的・経済的」基準に苛まされてきました。

「社会的・経済的基準」と国際原子力ロビーの用語を使いましたが、

これは欺瞞的な表現です。率直に真意を申し上げると「核推進の政府に都合の良い

ように・核産業に過剰な負担を掛けないように」という功利主義哲学の市民に本質

を悟られないようにという思惑で使われる用語なのです。

事故直後「原子力緊急事態宣言」が発せられ、法律では公衆(一般市民)は

年間1ミリシーベルト以下で守られなければならないことになっているところ、

あろうことか、年間20ミリシーベルトまで被曝を強要されることとなりました。

これと同様な事態が、放射性廃棄物の制限にも出現しました。

法律では100Bq/kgであったものが8000Bq/kgまでとされました。

このほか、法律の基づかない政府の実施要領はあちこち(あらゆるところ?)で

実害をもたらしています。

(2)日本政府は巨大な嘘を連発し、放射能被害を自分の都合よい「嘘」で

乗り越えようとしています。 ①まず、政府の放射能放出量の評価は過小評価過ぎます。チェルノブイリの

6分の1としていますが、科学的にきちんと見れば4倍を超えているのが真相です

(渡辺悦司ら:放射線被ばくの争点(緑風者)2016)。

②安倍首相はオリンピック招致が決まった時「放射能による健康被害は今までもなかったし、

今もこれからも無い」と宣言しました。

全官庁あげて「風評払拭リスクコミュニケーション強化運動」を行っています。

放射線による健康被害は無いという教条を基盤にして「知ってもらう・食べてもらう・

来てもらう」を組織化する運動です。

③復興庁は「放射能のホント」という虚偽満載の「学問の到達点」に

背を向けた教材を作りました。ほぼ内容を同じくして、小・中・高校生用の

「放射能読本」を副教材として与えました。真実を教えるべき学校で世界の常識を覆す

教え込みが行われるところまで住民の「洗脳」活動は徹底しています。

日本政府は「健康被害は一切ない」と虚偽を働いてまでも、何としても住民の視点が

人道と科学(住民保護)に向かうことを阻止しています。

(3)日本独特の強制被曝状況

チェルノブイリでは年間1ミリシーベルト以上では政府が「ここは危険です。

移住を希望する人が有れば政府が面倒を見ます」、5ミリシーベルト以上では

「ここには住んではいけません。生産もしてはなりません」とし、33年経った

今でも子供の保養などを筆頭に市民生活が被曝から保護されています。

前述のとおり日本では年間20ミリシーベルトまで被曝を強制するものです。

法律の1ミリシーベルトより20倍も高い基準で初めて規制が行われました。

(日本の事故処理特徴)

政府が住民保護に力点を置くか核推進に力点を置くかの違いから日本特有の被曝状況が

作られました。核推進に力点を置くことは住民を高線量被曝下に置くことです。

IAEAは1996年のチェルノブイリ会議のまとめで「住民は十分にリスクを受け入れる

用意がある」としていますが、その通りの方針が日本の事故に適用されました。

チェルノブイリと異なった日本独自の被曝の拡大のしかけ があります。

その一つは汚染地での生産による食料の放射能汚染と「食べて応援」。

二つ目は住み続ける条件として行った「除染」の結果集積された大量の「除染廃棄土」

が生じてしまったという特徴があり、「除染廃棄土」を政府は再利用で減少させようと

しています。汚染土を全国に拡散させようというわけです。

2次被曝を全国に拡散するものです。政府はこの汚染土砂を全国の公共事業等に使うことに

よって福島の汚染フレコンバッグを減らそうとしています。

放射能処理の鉄則は汚染地帯から非汚染地帯へ放射性物質を拡散してはならない

ことです。燃やしてもなりません。いずれも2次被害が必ず出ます。

安易な政府の汚染土の処理方法をやめさせなければなりません。

上記2点が、チェルノブイリの放射能規制と日本の規制の差がもたらした

チェルノブイリには無い日本独特の放射線被曝問題です。

(4)食品の放射能汚染問題⇒人格権・基本的人権を意識しない対応は社会を破壊する

(①放射能汚染の拡大再生産)

汚染地域内で生産された放射能含有食材が全国に流通しています。

チェルノブイリでは住民保護のために年間5ミリシーベルト以上の汚染地内での生産は

回避されました。しかし日本では100万人に上る農漁民の方がこの汚染レベルで生産を続け

ています(セシウム137の放出量だけで比較しようとする方法が見られましたがそれは

間違いです。セシウム134の放出割合が異なりますので、他の基準値である年間吸収線量で

比較した矢ヶ﨑の汚染比較マップ(地球の子ども新聞132号)をご覧ください)。

そして「食べて応援」の政府の掛け声で流通機構が太く開かれ、放射能汚染食品が

全国に拡散されました。全国的に深刻な内部被曝状況が作り出されました。

これにより食べて応援した市民が多数健康異常(疾病と死去)をきたしました。

事故後の日本の対応策の特徴です。

(②事故後急増した死亡率)

残念ながら、2011年以降の諸死亡率は2010年以前からの予測死亡率に比べて異常に高い値が

継続されています。全死亡率などは、1995年から2010年まではほぼ直線的に増加が続いて

いますが、2011年以降この予想直線よりずいぶん高い死亡率が記録されました

(厚労省人口動態調査データから抽出)。

この2010年以前の直線的変化に比較して、例えば福島県では年々約9%程度の死亡増が続き、

2011年~2017年までの過剰死亡者合計は1万2千人程と見積もられます。

2011年では地震津波の犠牲者のほか、約4倍の死亡数が記録されました。

この方法で見積もると、国全体では30万人も過剰死亡者が観測されます。

特に2011年以降死亡率が急増している疾病(分類事項別)では、

お年寄りの老衰死亡とアルツハイマー認知症などの脳神経系の疾患です。

この死亡増の原因が全て放射線被曝であると断定することはできません。

しかし強い蓋然性として「放射線被曝」が原因の一因になっているとみるべきです。

放射線被曝による可能性を否定することはできません。

汚染地内の生産者が塗炭の苦しみを伴いながら食べるためには生産しなければならず、

その生き抜くために生産した作物が生産者と消費者の命を奪う事態が続いているのです。

この矛盾は日本での原発事故処理の大矛盾です。政府の事故処理基準が政府と原発産業に

偏っているところから派生している大問題です。

この矛盾を住民側に傾けるには、汚染地内と汚染地外の住民の力をともに人格権の保護

を基盤に据えることにより手を携えて非暴力でたたかうことしかありません。

(5)放射能は食料生産者の基本的人権を冒涜する

そもそも食糧生産者の「使命(天命)」は安全なものを消費者に届けることです。

この使命が全うできない放射能汚染は、生産者の生きざまに対して破壊的に打撃を

与え歪めるものです。

生産したものを自ら食べて健康被害を受ける。食べて応援した消費者が健康被害を受ける、

そんな農漁業などは健全な社会では許されないことです。

今の政府の放射能対策では生産者に与えられた天命を全うできません。

自分が生産したものが「害を与える」などとは全く思いたくない現実です。

自ら「安全食品」の天命を意識し、それを守る思想を持たない限り「安全」の

掛け声にすがるしかありません。

生産者の誠意を作物を通じて消費者に届けることが根本において破壊されています。

命を大切にする基本的人権が破壊されているのです。

これが、政府が棄民している第一の犯罪です。

現状は「100ベクレル/kg以下は安全」という大合唱がまかり通って人命を奪い、

健康を破壊します。政府指針に従う限り、危険を知りながら乗らざるを得ない現実があります。

意識するとモラル(人格権)の破壊を感ぜざるを得ないものであります。

(食糧流通制限の意味)

食糧流通基準「100ベクレル/kg」以下は安全ということは虚偽です。

食料の放射能制限の、そもそもの意味は「リスクがあることを承知しながら、

社会の食糧確保などのためにやむを得ず流通させるうえでの制限値」であると言えます。

多くの国が緊急時の基準と通常時の基準を持っているのです。

リスクとは

放射能に弱い人は死に至る健康被害を得る可能性です。食料制限値そのものの

理解としてリスクがあることを認識しなければなりません。

放射能に強い人は全くぴんぴんしています。 放射能に弱いお年より、乳児、小児、

体にすでに機能不全・弱点のある人(病人、肥満体質、疲れやすい人・・・)などの

方々がまず犠牲になります。

弱い人の生きる権利を遮断する社会は人権無視の強権・強者社会です。

(6)政府のファシズムーー嘘のスローガン「健康被害は一切ない」の棄民策下の悲劇

「健康被害は一切ない」の下に現実の健康被害を認めず、被害者を切り捨てています。

深刻なことは「健康被害は一切無い」という政府の事実でない見解(嘘)や施策を

現実に当てはめ、現実を嘘の下に処理する逆立ち政治が行われています。

「小児甲状腺がんは事故と関わりない」あるいは「避難者の住宅確保予算をゼロにして

『避難者は居なくなりました』」というようなまさに逆転した嘘の政治が進もうとしています。

現実に逆転した政策(嘘を現実に押し付ける政治)の下に放射能汚染の危害は全て

「風評被害」に置き換えられ、復興と帰還が強烈に強調されました。

復興は被災者全ての悲願です。死亡率が急増している中、避難指定区域を解除しても

85%の人が帰還は困難と判断して帰還していません。高汚染地帯への早すぎる帰還・復興は

命を縮めます。先の死亡率のグラフ中の南相馬市をご覧ください。2015年以降の急増が

「帰還による死亡率の増加」の恐れがあります。

民間でも「放射能の健康被害が無いと思えば幸せになれる」と閾値が無くて低線量でも

危害が現れるという科学上の到達見解を否定して「心で無いと思えば被害は無いのだ」

という住民を騙す逆転した見解が政府見解となり、住民の心身の健康被害を封じ込めます。

まさに客観的事実を精神上の問題に置き換えようとしています。こ

れが洗脳と言われるものなのですね。

この政府と「専門家」の強烈な圧力のもとに、戦前の「侵略戦争を進める政府とそれを

支える国民」が一体となって戦争を遂行する関係を髣髴させる状況が進行しているよう

に思います。日本では民主主義国家の主権者が育っているのか?と口の悪い外国の友達が

言っていいたことを思い出しました。

(7)民主主義社会の主権者は主権者らしく人権を守る意思表示しよう

憲法改悪を阻止しようと思う皆さん、辺野古の強権的推進を止めさせようと思う皆さん、

否、憲法「改正」も軍事基地拡大もしょうがないと思う皆さん、全ての皆さんが国によって

命が守られることを民主主義政治の当たり前の基本と思ってください。

住民を主権者として大事にする政治を望んでください。

嘘をもとに進める政治は住民に苦しみを与えるだけです。だから放射能問題に現れた

アベ首相の政治に市民が協力することは自らの人格権を否定されることにつながります。

決して協力せず、「やめなさい」と言いましょう。

(8)食品の放射能汚染は今なお深刻

厚労省の食糧の汚染測定では、今なお、東日本(東北、関東)全域で汚染状態が続いています。

また、食べて応援した一家の健康異常の手記をご覧ください。

皆さん、食べて応援は止めましょう。「食べて応援」で寿命を縮めるのではなく、

汚染地内で生きる住民も汚染地外で生きる住民も手を取り合って人権を守る共通の意識で

本質的なたたかいをしましょう。

(9)避難先の自治体も「子ども被災者支援法」の精神を共有できるはず。

国と福島県だけを相手にするのではなく、受け入れ先の自治体でも「子ども被災者支援法」

の精神の実践を訴えましょう。

来年度の原発事故避難者への支援は、沖縄県が全国で唯一、単独事業で名目を

「生活再建支援」として支援の継続を予算化してくれました。沖縄県は既に2ヶ年間、

各家庭に支援を行い、さらに来年度再来年度と支援継続を決定してくれました。

故翁長雄志知事が肝いりで実施を決定し、玉城知事が翁長知事の遺志を継いで予算化

してくれました。

全国の自治体で避難者受け入れ自治体として長期的視点で「子ども被災者支援法」

精神を施行するよう要求いたしましょう。

また、西日本の自治体では、福島等の汚染地のこどもの保養を自治体の公費出費で

行うよう、「本質的支援」を要求しましょう。

個人としては決して食べて応援はしないでください。いろいろな応援:本質的応援が

できるはずです。

科学(真実)を踏まえた人道的支援、ともに人格権を増大させる共通の課題で力を

合わせましょう。      

ご支援の訴え

既に多くの方からご支援をいただきました。とてもありがたくいただきました。

しかし残念ながら「アンケート報告集」出版事業は赤字です。

皆様のご支援をいただければ幸甚です。

なお、ご支援いただいた方にはアンケート報告集をお礼として差し上げます

(過去にさかのぼって実施します)。よろしくお願い致します。

つなごう命の会(矢ヶ﨑克馬)

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振替口座

口座記号番号: 01770-5-170377

口座名称: つなごう命の会 (ツナゴウイノチノカイ)

加入者払込み払出店 那覇支店

郵貯以外の銀行からの振り込みの場合

店名(店番):一七九(イチナナキュウ)店(179)

預金種目: 当座

口座番号: 0170377

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