避難者通信61号(2019年4月6日)
避難者通信61号(2019年4月6日) 各位 お元気でいらっしゃいますか? 沖縄の「つなごう命の会」です。 転載拡散自由です。 今回は 放射線防護学を「社会的経済的戒律から真実と人権を重んじる誠実な科学へ」 というテーマで通信をお送りします。 現在世界の放射線被ばく防護のスタンダードは「国際放射線防護委員会」であると言えます。これは放射線学、医学、看護学、核工学などの分野の初度教育のテキストからそれぞれの現場の放射線被曝指針に至るまで全てのプロセスの基準として使用されています。 今回の福島原発事故でも人々に被曝を強制し、さまざまな形態でたくさん出ている健康被害を隠し去る仕掛けを提供しています。 これをヨーロッパ放射線リスク委員会(ECRR)は「放射線被害の極端な(10~100倍以上の)過小評価の体系である」として批判しています。そして放射線リスク係数を抜本的に現実に合わせて実態化しようとしています。 ECRRの手法はICRPの体系をほぼそのまま使い、リスク係数だけを「改善」して実態にあわせようとしています。 被曝がどれほどの健康被害をもたらすかという正直な予測ができる「放射線防護」が世界住民を守る上で必須です。 矢ヶ﨑克馬は真の放射線防護学の確率には、リスクを予想できることは最低限必要ですが、科学としての防護学を構築することが根本として必要であると考えます。そのためにはECRRのリスク係数の実態化という方法はICRPを土台とする限り科学としての限界を内包していると考えます。ICRPが科学ではないからです。 ICRP体系は、核(核兵器と原発)推進を防護・推進する「武器」として構築されてきました。いたるところで科学の原則を踏み外しています。国際原子力ロビーの「社会的・経済的」という用語を借りると「社会的・経済的」戒律であり、科学ではないのです(科学ではないから戒律という用語をしました)。ここで、社会的・経済的という言葉は国際原子力ロビーの特殊用語であり、真の意味は「核推進を妨げないように、国や産業に大きな負担を掛けないように」という意味を持ちます。 ICRP体系では基本的概念である「吸収線量」などの定義をしながら実態は定義を無視し、定義どおりの使用を全くしておりません。定義した吸収線量があるのに、実態は全て照射線量で置き換えています。 科学的根拠のない恣意的な物理量(生物学的等価線量、実効線量、シーベルトという単位等々)をICRP「体系の基本」として使用しています。 放射線を被曝してからの生体内の諸反応の実態を科学せずブラックボックスに閉じ込め、科学の基本である「因果律」を無視しています。 真の放射線防護学を確立する必要が人類には求められています。 「社会的・経済的」戒律から真実と人権を重んじる誠実な科学へと転換する必要があります。 ICRP体系を客観的に批判するには、科学と民主主義の観点が必要なのです。 松元保昭さんが7年前にECRR勧告とレスボス宣言の普及のためにQ&Aをしてくださいましたが、このほどそれを最整理してくださいました。それが「ICRP体制に終止符を」です。 「ICRPを科学の目で批判する」という論考(概略)も加えて皆様にご紹介いただきました。 添付ファイルをご覧いただければ幸いです。 文書「ICRP体制に終止符を」 矢ヶ﨑克馬