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2022年2月17日しんぶん赤旗◆新たな差別持ち込むな◆原爆被害者すべて救済を

◆新たな差別持ち込むな

◆原爆被害者すべて救済を

 琉球大学名誉教授 矢ヶ﨑克馬さん


「黒い雨」被害者救済の政府が示した「指針」について、「黒い雨」訴訟や長崎の被爆体験者の訴訟にもかかわった琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬さんに聞きました。(加来恵子)


 厚労省が示した「指針」は広島高裁判決を無視しています。11疾病罹患(りかん)要件や黒い雨に遭った者に限定するなど新たな差別が持ち込まれようとしています。


◆司法判断に従う

 判決は、内部被ばくを認め、原爆による健康被害の可能性を否定できない者であったことを立証すれば、被爆者援護法の1条3号に該当すると認めるものでした。

 「黒い雨」に遭っただけでなく、黒い雨に打たれていなくても放射性微粒子を吸引したり摂取したりして体内に取り込むことで内部被ばくによる健康被害を受ける可能性があったと認定し、手帳を交付せよと命じました。

 厚労省の「指針」は判決の科学性や人道性を破壊するものです。

 3権分立という立憲民主主義を建前にする国として行政は司法判断に従わなければならないのです。開き直って、被爆被害者のあらたな分断条件を出してきているというのが大問題です。

 長崎県、市と厚労省の実務者協議では、過去の裁判例との整合性などの課題を整理するとして広島地裁・高裁、長崎地裁・福岡高裁の判決の事実認定で用いられた書証についての分析をするといいます。


◆内部被ばく隠し

 国側は、米核戦略に従い、原爆が投下された直後の初期放射線の外部被ばくのみを認め、内部被ばくを覆い隠そうとしています。

 長崎でも広島と同様に、第1種健康診断受診者証を持つ人は、健康管理手当の対象となる障害があると診断されれば、被爆者健康手帳が交付されます。

 ところが、第2種健康診断受診者証を持つ「被爆体験者」は、病気になって診療手当をもらおうとすると、「被爆体験に基づく精神的な要因により特定の病気を発症」した(被爆したと思い込んだ精神的ストレスで病気になった)と見なされ、精神科医の診断書がないと手当を受給することができません。しかも、がんなどの治療には適用されません。

 内部被ばくによる疾病を「精神疾患」によるとするこの制度は、国家的差別です。そしてこの差別・偏見に苦しめられてきた当事者が声をあげはじめました。

 原爆被害者は高齢化しています。人道上からも、高齢化した原爆被害者全員を救済すべきです。


2022年2月17日しんぶん赤旗


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