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『放射線被曝の隠蔽と科学』書評

皆々様

沖縄でのコロナパンデミック依然として深刻です。

皆々様のご健勝をお祈りいたします。


この度、緑風出版社から『放射線被曝の隠蔽と科学』を出版いたしました。


つなごう命の会の活動を通じての発言、被曝関係の訴訟支援での論考など、「知られざる核戦争」の内容等々をまとめたものです。


インターネット等で書評を頂戴しておりますので、そのうちの2つを皆様にご紹介いたします。


ご笑覧いただければ幸甚です。


くれぐれもご自愛くださいましてお過ごしください。


矢ヶ﨑克馬


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松元保昭さん矢ヶ崎克馬著書紹介 (1)

みなさまへ BCCにて お知らせ(拡散歓迎) 松元@札幌 新刊:矢ヶ崎克馬著『放射線被曝の隠蔽と科学』(緑風出版、2021年5月、定価3200円)

原爆投下直後の隠蔽・被爆者放置からフクシマ避難民切り捨て「風評被害」の棄民政策に潜む「内部被曝」を暴き、いまも「知られざる核戦争」を続行する国際原子力ロビーのエセ科学を批判する!


《原水爆や原発による放射線被曝は、ヒロシマ・ナガサキからチェルノブイリ・フクシマまで、これまで一貫して被曝防護の基準を核推進の国家や企業に有利になるように制定し、事実を隠蔽し、市民の健康を無視し、被害を拡大してきた。その推進勢力こそが国際原子力機関(IAEA)・国際放射線防護委員会(ICRP)・原子放射線の影響に関する科学委員会(UNSCEAR)・世界保健機関(WHO)などの国際・国内原子力ロビーであり、エセ科学とエセ科学者を総動員し安全神話を捏造し、人びとを欺瞞してきた。本書は、国際放射線防護委員会などの防護の考え方や防護基準を科学の目で批判し、どうすれば放射線被曝から市民のいのちと暮らしを守れるかを考える。著者(1943年生まれ、琉球大学名誉教授・物性物理学)》


とくに、「原子雲」形成の機序解明、放射性微粒子を核とした「黒い雨」の正体、無視・誤認された「水平原子雲」と「黒い雨」雨域の科学的論証、またネバダのような乾燥地帯と異なる広島・長崎の多湿大気中における微粒子の力学的挙動の解析、内部被曝と外部被曝における電離作用の比較解明・啓蒙活動などによって、「放射線による被害はない」「被爆体験による特定精神疾患」などという国家の放射線汚染区域とその認定基準の過小評価の元となった重松逸造を座長とする「専門家会議」を徹底批判した、科学者としての著者の働きは圧巻。じっさいに、2003年から「原爆症認定集団訴訟」の19連勝に貢献した。


また3・11直後から、福島に足しげく通い放射線測定器を届け各地で学習会を開いたが、自ら被曝者となって病魔に襲われながらも、妻・沖本八重美が結成した「つなごう命―沖縄と被災地を結ぶ会」により、「原発事故避難者通信」も93号を重ね実践活動にもとぎれなく力を注いできた。


こうして、ヒロシマ・ナガサキ・フクシマの被曝の実相を追い続け解明する著者の人生の始まりには、支えあい導きあってきた広島最年少の胎内被爆者であった妻・故沖本八重美との出会いと道行があったが、そのたゆまぬ活動記録は感動的でさえある。


本書は、ビキニを加えて四度の被爆体験をもつ被爆国日本における、絶大な国際的核権力に抗した稀有な科学者の現代に突き付ける闘いの記録である。「事実をありのままに認識するこ

とは民主主義の土台である」を座右の銘にし、どこまでも「誠実な科学」を追い求める著者:矢ヶ崎克馬さんを応援し、共に学び、共に闘いましょう。


ご注文【本書ご希望の方は、「住所・氏名・電話」を添えて本メールにて返信してくだされば、送料・消費税なし「定価のみ」で送付いたします。(振込用紙を同封します。) 】 パレスチナ連帯・札幌:松元保昭


【ご参考に】■ICRP体制に終止符を!―内部被曝の真実

初出:2012 年 4 月 20 日

矢ヶ﨑解説加筆修正・西尾補論挿入:2019 年 3 月 30 日

<もくじ>

配信にあたって……1~5頁

市民版ECRR2010勧告の概要:矢ヶ﨑克馬解説・・・・・・5~25

市民版ECRRレスボス宣言2009:矢ヶ﨑克馬解説・・・・・25~41

ICRP体系を科学の目で批判する―社会的・経済的戒律から人権と科学の体系へ:矢ヶ﨑克馬・・・・・・41~50

矢ヶ崎克馬講演パワーポイント:第3回被曝・医療、福島シンポジウム・・50~70

補論・放射線医療現場からICRPの似非科学を批判する:西尾正道・・・70~82


パスワード psis_21065


この80ページにおよぶ文書は、世界の原発政策を推進している国際原子力ロビーの出先ICRPの核心を真っ向から科学的に批判した証言であり、原発推進勢力との訣別を提言したものです。「核と原発のない世界」を望む市民、医師、研究者、学生、行政・司法・医療関係者など幅広い市民が無料で自由に利用できることを目的につくられたもので、専門家である矢ヶ﨑克馬さんと西尾正道さんが協力してくれました。お二人の、歴史に残る人間と科学に誠実な証言から学ぶことは大きいと思います。松元


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放射線被曝に関心をお持ちの皆様

山田耕作です。

最近出版された矢ヶ崎克馬著「放射線被曝の隠蔽と科学」

緑風出版 2021年5月刊をお薦めします。


緑風出版│放射線被曝の隠蔽と科学(ISBN978-4-8461-2109-9) (ryokufu.com) 推薦文を添付しました。


 矢ヶ崎克馬氏は放射線被曝の被害者を支援するために、長年先頭に立って活動してこられました。特に科学者の立場から被曝の問題を中心に研究して来られました。今回、国際放射線防護委員会ICRPをはじめとする国際原子力ロビーの放射線被曝の隠蔽と「防護体系」の根本的な誤りを批判し、正しい科学を提示した書として本書を出版されました。


 ご自身の活動を振り返りつつ、科学と科学者のあり方について自分の信念を述べておられます。科学にとって批判精神が如何に大切かがよくわかります。

 そして真実と人権を護るためには勇気を持って戦う気概がなくてはならないことが示されています。

 わたしは放射線被曝の科学にとって歴史的な書であると思います。

ご検討ください。


私がお薦めしたい本

矢ヶ崎克馬著 「放射線被曝の隠蔽と科学」

緑風出版、2021年5月 A5判上製/284頁/3200円 ISBN978-4-8461-2109-9 C0036

推薦者 山田耕作


1.はじめに

 本書は福島原発事故10年の節目に、放射線被曝被害者の支援の運動の先頭に立って活動してきた著者が科学者の立場から、国際的に核を推進する

 IAEA(国際原子力機関)、ICRP(国際放射線防護委員会)、UNSCEAR(原子放射線に関する国連科学委員会)などからなる原子力ロビーによる被曝の隠蔽を暴き、ICRPの放射線被曝体系の根本的な間違いを批判し、正しい放射線被曝の科学を提示した書である。原子力ロビーとはIAEA、ICRP、UNSCEARなど国際的に核の利用を推進する国家・企業の利益のために巧みに働きかけている組織である。


2.IAEAはチェルノブイリ事故後、「住民に被曝を強制し、避難させない」政策に転換した

 チェルノブイリ事故10年を経た1996年、IAEA など原子力ロビーは、大量の被曝を容認し、住民を避難させない政策へ転換した。その指示の下、日本政府は、チェルノブイリ事故では年間1mSv(ミリシーベルト)以上で認められた避難の権利を福島原発事故では認めず、20mSvまでの被曝を容認し、その汚染地への帰還を強制している。このことは汚染地に住む数百万人の住民に汚染地での被曝労働と汚染した農水産物で生活することを強制するものである。著者が言う「知られざる核戦争」の最前線である。これはあらゆる戦争と同様に最も基本的な人権、健康で安全な生活を送る権利を侵害するものである。


3.隠蔽され続けてきた内部被曝

 被曝には体の外から放射線を受ける外部被曝に対して、呼吸や食事で放射性物質を体内に取り込む内部被曝がある。とりわけ広島・長崎の被爆でも無視されてきた内部被曝は本質的に重要である。ところが日本の食品基準1kg当たり100Bq(ベクレル)は緩すぎるのである。例えばセシウム137を毎日100Bqづつ、1年間摂取する(合計で36500Bq)と、ICRPの理論で12000Bqが体内に蓄積する。体重60kgの人とすると1kg当たり200Bqとなり、心臓、肝臓や腎臓など多臓器不全で死亡したベラルーシの人たちの蓄積濃度に近くなる。ところがICRPの理論に基づけば、セシウム137の77000Bqの摂取を1mSvの被曝に換算して安全としているのである。

 矢ヶ崎氏たちの政府の人口動態調査を用いた推計では2011年から2017年までの7年間に日本で過剰に死亡した人が27.6万人に上るという。同期間に出生数の異常減少は27.1万人である。沖縄でも老衰による死亡率が高いと言うことなので、食品を通じた内部被曝が主な原因として検討されるべきである。体内に蓄積したセシウムなどの放射性元素は水などから活性酸素を発生させ、脂肪膜である細胞膜を破壊し、臓器を損傷する。この細胞膜の破壊は外部被曝の線量の5000分の1の線量で起きる。この放射線の間接的効果である活性酸素を介しての細胞膜の破壊はペトカウ博士が発見したのでペトカウ効果と呼ばれる。このセシウム137等の体内蓄積による多様な病気がチェルノブイリでは多発しており、「長寿命放射性元素取り込み症候群」として大きな健康被害をもたらしている。本書の著者はこれを「活性酸素症候群」と呼んでいる。


4.ICRPの放射線被曝体系はもはや科学ではない

 ICRPに基づく放射線被曝の体系は広く普及し、日本をはじめ世界の医学・放射線科学の基礎ともなっている。このICRPの放射線被曝の体系が、「放射線被曝を隠蔽する『エセ科学』であると告発し、正しい被曝の科学を提示するのが矢ヶ崎克馬氏の本書である。その理由・根拠は次の通りである。

 自然科学の対象は、客観的に存在する物質である。その物質に何かが作用したときに作用の具体的現れを作用の帰結として因果関係を明らかにするものが科学である。因果関係が法則的に捉えられたとき、科学的に解明されたという。 放射線の害悪の根源は原子の結びつきを破壊することである。ICRPの被曝体系は電離の具体性を捨象し、生体の修復能力が電離の具体性に依存することを不問に付し、具体性のないエネルギーだけを取り扱い対象とする。そのうえ、電離を受けなかった大量の細胞を「吸収線量」計算に参入させることを制度化する。その方法として、臓器/組織あるいは全身での質量で吸収エネルギーを基準化している。それが「吸収線量」である。ICRPは吸収線量を被曝の影響を捉える唯一の因子としている。しかし、有効な科学は、まず具体的な被曝実態を捉える。これが科学の最も重要な第一歩である。①電離、分子切断等の物理的現象を具体的に捉え、②それに対する生命体の反応を具体的に捉え、③出力としての健康被害のメカニズムを検討しなければ被曝防護の体系にならない。「吸収線量」を唯一の因子とするICRPの体系は科学としての出発点を持たない。そのうえ、「吸収線量」さえ定義どおりに使用せず、「照射線量」で置き換えている。このことにより、 細胞等の培養実験、動物実験等の結果は全て放射線の被害を過小評価する方向で整理される。

 ICRPは以上のように科学をすることを排除した体系である。生体の反応に対する科学/事実はブラックボックスに押し込められた。放射線による健康被害は活性酸素症候群と呼ぶべき大量の症候群を成す。しかし、ICRPはブラックボックスに閉じ込めることによって、事実上がんと少数の臓器の健康不良にとどめている。ICRPは「吸収線量」の計測単位を臓器あるいは組織ごととする。内部被曝の場合、圧倒的に多量な「電離を受けない細胞」を含めて平均化する手法で、 電離の具体性を数値上で隠蔽する。・・・総じて内部被曝を無視する政治的目的の具体化である。


5.正しい放射線被曝の科学の構築に向けて

 本書推薦者の理解したところではICRPの被曝体系は吸収線量のみを被曝の作用として導入し、生命体における具体的実態、臓器、細胞、遺伝子、免疫機能、ホルモン作用等々を捨象する。ファントムという人工の物体に放射線を照射する。応答は生命体とは全く異なるはずである。ICRPは内部被曝を外部被曝の応答ですり替え、応答としてがんと遺伝的影響、少数の健康被害のみを考慮し、他の被害を無視する。外力と応答という科学の根本を否定する制約を加えた体系で科学たり得ないことは結果を見ずとも想定されることである。臓器や細胞など生命体の運動、免疫機能やホルモン作用など生きた生命体の反応を考慮せずして健康被害を論ずることができないのは自明である。

 ICRPは細胞学や内分泌学の発展以前にとどまっているのである。それが内部被曝に対する無視・無力、特に放射線被曝による活性酸素の発生による健康破壊を無視することになるのである。原因は体系の根本にあるため改良は不可能である。ペトカウ効果による細胞膜の破壊など細胞なしに議論できるはずがない。それ故、日本はもとより世界の放射線被曝の専門家、医学者に根本的な「放射線被曝の科学」の転換を迫るものである。これまで広く普及していた学説の否定というその衝撃の大きさの故に、信じがたいと思われる人も少なくないと思う。しかし、科学は過去には正しいと信じられたものが否定され、より普遍的で正しい真理に接近することが常である。連続的な変化もあれば革命的な変化で根本的な体系の改変を伴うこともある。私はこの矢ヶ崎氏の告発は科学的に合理的であり、真実であると確信する。


6.終わりに

 本書のようなICRPに対する批判は矢ヶ崎氏以前に欧州放射線リスク委員会(ECRR)が2010年勧告(山内知也監訳)で行っている。しかし、矢ヶ崎氏の批判がより徹底している。放射線被曝の学問体系の改変はその進歩の上では歴史的必然である。すでに、チェルノブイリ事故による健康被害をめぐって、健康被害を認めようとしない国際原子力ロビーと住民保護を実施する現地科学者専門家とが対立し、完全に「科学が二極化」した。大事故の発生とともに、原子力ロビーの現実を無視した露骨な健康被害の否定から、その正体、被曝を防護せず、逆に強制することが露呈してきたのである。

 様々な学説の真偽は、客観的な自然現象を具体的に観測し学説と比較対照し、実験を行うことで検証・確認することができる。真理は常に具体的である。科学はその具体性に基づき、こちらから働きかける実践を通じてどこまでも真偽を追求することができる。放射線被曝の科学においても、同様の体系の対立とその転換が起こっていることを証明しているのが本書である。



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