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第101号避難者通信 放射線被曝を防護し、原発廃絶を実施できる政府を!

皆々様お元気でいらっしゃいますか?

気候が変化する折です。皆々様のご健康をお祈りします。くれぐれもご自愛ください。


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(1)新しい内閣ができ、総選挙が迫っています。

「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が媒介となり野党4政党の 野党協力体制が実現しました。さらに立憲民主党と共産党は限定的な「閣外協力」を 約束しました。しかし、立民の最大支持団体の連合は反共の立場から不快感を示しています。 それを乗り越え、共産党が政権に関与することが実現すれば、日本の民主主義にとって 大きな一歩になるに違いありません。

(2)野党が独立した政党として協力し合おうとするとき、歴史的にはいつも 反共主義が協力を阻止してきました。

① 「60年安保」闘争と言われる大規模な国民的「主権在民」の大主張がありました。 1951年9月8日の講和条約(片面講和条約)締結に際して、閣僚にも国会にも 国民にも誰にも諮らずに当時の吉田首相ただ一人の署名により日米安保条約が締結されました。 サンフランシスコ講和条約は、沖縄の多くの人は「屈辱の条約」と呼んでいますが、 それは民族主権を 捨てた条約です 。 沖縄は反共の砦として米国に割譲されました。 ソ連の北方4島の占領を許し、事実上主権を放棄する内容のものでした。

② 日本国憲法の格調高い基本的人権、国としての主権の宣言とはかけ離れて「反共国家」を具体化したのでした。 戦後の自民党政治は如何にして憲法を変えて「戦争のできる美しい国」に復帰できるようにするのかをあらゆる局面に置いて国民に押しつけてきた歴史です。 その成果が「戦後政治の総決算」です。自民党権力構造はそのまま「日本会議」であり、国の表舞台が日本会議に乗っ取られている姿です。 政治の「私物化」を欲しいままにし、財界の便宜を図る「死の商人」と化した自公の姿です。歴史修正を伴う覇権主義国家を許してはならないと思います。

③ 平和な日本は決して「第2次世界大戦で亡くなった多くの方の犠牲によって」成り立つ のではなく、「多くの犠牲を強いられた痛苦と、戦争を2度と繰り返さないという 固い決意によって」成り立っているのです。 この決意の上に立つのが平和憲法です。 憲法には人類の英知としての理想が基礎にあります。理想は持ち続けるべきです。

④ 1960~80年は、日本の民主主義が定着し、身を結ぶかに見えた年代です。 上記の様に国の主権を捨てて不正常に締結された安保条約の確認として、「60年安保改定」が予定されていました。 これに際して"大多数“の有権者が反対の意思表示をしたのです。

⑤ その状況に対してアメリカ政府は危機感を持ち日本支配の現状を再分析し新方針を具体化しました。 「ケネディーライシャワー路線」と言われた、「共産党封じ込めと中間層抱き込み懐柔」(ライシャワー弁)を基軸にした日本支配政策の洗い直しが始りました。 アメリカは日本共産党が日本の民主主義のキーパーティーであることを見抜いていたのです。 沖縄割譲を必要とした反共主義 の貫徹を図る必要があったのです。

⑥ アメリカという「宗主国」が日本の政治の構造改革を正面切って宣言し、実施したのです。 ケネディーライシャワー路線は、政府に異議を唱える野党、労働組合幹部、平和運動/民主運動幹部、学者に優遇を与え、大量にアメリカに招待し、吹き込んで返すことを基軸に行った長期的な日本の思想改革の総合的政策でした。

⑦ 60年安保改訂反対の大闘争のあと、野党共闘は進み、70年代には日本に民主連合政府が できるのではないかという期待さえ現実的な課題として議論されました。

⑧ しかし、ケネディーライシャワー路線が功を奏して、当時の野党:社会党、公明党、共産党の間で 「統一戦線内閣」の構想が進んでいましたが、1980年に「共産党を政権構想の対象としない」 という社会党と公明党の間で共産党排除の協定が結ばれて、革新共闘・統一戦線内閣も破談となりました。

⑨ 2017年の衆議院議員選挙に於いては、市民連合の働きかけで野党協力体制の構築の話が 進んでいる最中に、当時の民進党党首前原誠司氏は、突然「希望の党」の踏み絵を許した 主権無き2党合流を演じ、構想されていた野党共闘は阻止されました。ここでも共産党との現実課題で 提携する動きを破壊するためになりふり構わぬ反共茶番劇が演じられたのです。

⑩ 岸田内閣は安倍/菅亜流と言われています。政治の基本路線は変わらない。しかしそれは 市民の苦しみを継続/増強させるだけです。目先の「新しさ気」やまやかしの甘い言葉に 欺されないようにすることが市民によっては大切です。

⑪ 新自由主義は何か高尚な主義主張があるのではありません。労働者が勝ち取った 「8時間労働制」などの今までの制限を取り払い、如何に低賃金で長時間働かせることが できるかという資本のあくどい利潤追求の手段を「主義」という飾り文句で表したものです。 悪しき資本主義が政府を媒介にして荒れ狂いました。あらゆる「規制緩和」や「制度改革」は 労働条件の悪化を完璧にもたらしました。世界の中で日本では特に悪辣に新自由主義が 実行に移されました。ここでもケネディーライシャワー路線の成果が新自由主義の振興を支えました。

⑫ 下図をご覧ください。

図は1997年を基準とした各国の実質賃金の推移を示したものです。 一貫して低下を続けるのは、日本以外はありません。

⑬ これが今まで自民/公明政府が進めてきた政治です。 この腐敗/私物化(法などの無視)の限りを尽くしている日本市民を虐待する政治は止めさせましょう。一人一人が投票する意思を持つことが人権を守ります。

⑭ 選挙で市民のために働く勢力を伸ばすことが、日本市民の人権確保の唯一の道です。 肝心なことは、共産党なら共産党が過去に於いて何を主張し、今まで何を実践してきたかをありのままに見ることです。 世界には共産主義を名乗る独裁/覇権主義の国があります。この他国の「似而非共産主義」とごっちゃにしてはいけません。 市民が力を合わせることを阻害するための虚偽に立った「反共産」の思想差別を見抜いてください。

⑮ 事実をありのままに認識することは民主主義の土台である」と言う言葉を私は用いておりますが、事実をありのままに見て、市民主体の政治を実現することに力を合わせましょう。

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とにかく憲法や法律に決められていることを謙虚に守って、主権在民の政治をすること。

政治の私物化や忖度、腐敗は全て民主的な建前、決まりを無視/破壊するものです。 多くの場合は裏に金権政治があり、不当な権力支配となります。

(1)福一原発事故から10年と半年が過ぎますが、被曝防護に関する国の施策はほとんど 全てに渡って、市民との約束である法律を破って、不当な支配が日本市民の人権を奪ってきました。

福島県だけでなく、強汚染されている地域であるにも拘わらず、放射線被爆軽減をされなかった住民と、 放射線被曝を自発的に軽減しようと避難した市民は、共に大きな「人権の切り捨て」に苛まされました。 即ち住民を保護する規定を持つ法律の無視を、国家によって成されてしまったのです。

① 放射線被曝は紛れもなく「健康危険因子」です。しかし、当時の民主党政府及び続く安倍政府は真逆の施策をしました。大規模で大胆なうそも多発されました。 山下俊一の「放射線は笑っていれば通り過ぎる、これは動物実験で証明されている」、原子力ムラ総動員の「100mSv以下の放射線被害は証明されていない」。食料の100Bq/kg規制は、「放射線被曝にはリスクが伴います。場合によっては命に関わることもあります。良く承知して、覚悟も決めて、召し上がりください」と言わねばならないところを、「規制値以下は安全です」の一点張り。小生の調査では、原発事故以来7年間で20万人を越える死亡者の異常増加がありました(「放射線被曝の隠蔽と科学」、緑風出版、2021)。 「食べて応援」、「風評被害払拭」、放射線の危険な本質を語らず、便利な面だけを強調した小/中/高校用「放射線副読本」、「放射線のホント」。 さらに安定ヨウ素剤の不配布とSPEEDIの非公開等が伴いました。他の「健康危険因子」に比して真逆な取り扱いが展開されました。

② 日本国の野蛮な暴虐行為である20mSvの全面適用は法治国家の法で定められた「一般市民には年間1mSv以上の被曝をさせない」という法律を無視したこと。 さらにそれだけでなく、年間20mSvという被曝レベルは法に定められている手続きをも無視して決められたことが極めて遺憾です。

③ 原子力災害防止法の下で実施していた住民の避難と安定ヨウ素剤の処方とSPEEDIの公開などが 不当に実施されませんでした。特に安定ヨウ素剤の服用は東電関係者、福島県立大学及び病院の 関係者全員には素早く服用させたにも拘わらず、被災住民への処方は敢えて行われなかったのです。

④ 20mSvの決定プロセスはひどいものでした。原子力災害対策特措法の規定を無視しました。 定められた機関(原子力災害対策本部および国会)での「決定」というプロセス抜きで、 いきなり福島県に対する文科省の通達という内閣の先行独断の横暴が行われました。

⑤ 今ひとつ重要な視点は、日本政府の被曝防護に関する残虐行為が、国際原子力ロビー、原子力ムラの「従来の住民への被曝軽減措置は実施しない」という、被曝防護ポリシーの大逆転に引き回されたのです。 国際原子力ロビーは1996年(チェルノブイリ災害より10年)に露わに住民を切り捨てる「原発維持のための開き直り」を行いました(その具体策である住民を汚染地に住み続けさせる実施基準はICRP2007勧告によります)。 国際原子力ロビーの「原発維持策(住民を保護せず)」が日本に適用されたのは、日本の法に参入させる正規の手続きでは無く、こともあろうに既存の法を無視するやり方で実施されました。

どさくさに際し、日本の原子力ムラの科学者/専門家は、原子力ロビーの政策を全面的に政府に提示したのです。

⑥ 1996年に開かれたIAEA「チェルノブイリ事故から10年」という国際シンポジウムで「古典的介入(住民の被爆軽減措置)はもはや行わない」、「住民を永久的に汚染された地域に住み続けさせる」という核戦略が確認され、「ICRP2007年勧告」で具体的対処方法が提案されました。 その内容は事故の際には最大100mSvまでの被曝をさせるレベルまで住民を保護する施策はとらない。

何ミリシーベルトまでかは当事国が決める。というものです。 国際原子力ロビーによって 被曝防護の歴史を逆転させるクーデターが行われて、その具体方針まで「国際化」されたのです。まさに原子力産業の新自由主義の具体方針なのです。

国際原子力ロビーの方針が出されることと日本国の法治とは直結しません。 しかし日本国は何の合法的手続きも踏まず直結させました。背後には強大な原子力ムラ/国際原子力ロビーの組織があり日本政治を不当に牛耳りました。

「住民保護」に関わる施策の推移は以下の概略過程をとりました。 2011年3月11日 16時36分 原子力緊急事態宣言発令。 20mSvに関わる上記の乱暴な住民切り捨てが成されました。 しかし、民主党政府時には住民保護を歌い上げる法律を作成しました。 2012年6月 子ども被災者支援法 が成立しました。 内容は、理念的には日本のチェルノブイリ法とも呼ばれるべき精神を謳っています。しかし、保護の具体策はほとんど何も基準を設けておらず、具体性に欠ける法律でした。例えば、住民を保護すべき汚染区域は「一定線量から20mSvまでの汚染地域」となっており、当然日本の法律で決まっている「1mSv/年」とすべき値を「一定線量」と具体化されないままで法律化されました。 チェルノブイリ法と大違いでした。 しかし、 2012年12月 安倍内閣(第二次)が発足しました。 2013年9月7日 オリンピック東京大会の開催が決定。安倍首相の有名な虚言「アンダーコントロール」、「健康被害は、今までも、現在も、これからも一切ありません」。 この中で、 2013年10月 子ども被災者支援法の「基本方針」が閣議決定されました。 この安倍内閣の閣議の犯罪性は、保護すべき区域が「一定線量-20mSv」となっていたところを、

「相当の線量―20mSv」と言い換え、中通りと浜通りに限定させました。この閣議決定で、

「市民の権利を、法律に沿って『1mSv以上では避難の権利を認める』」等の細やかな住民防護は

一切切り捨てられたことです」 その上、 2014年4月 からは 避難指示地域の解除 を早くも開始しました。 避難者に対して国の責任として行われていた「住宅支援」を行政的に減少させることにより、

『福島の事故は治まった』という虚偽の情報を国際社会に発信しようとするためでした。

(3)法治国家の維持は、国の誠実さが必要なのですが、全くそれが無い。 国家と資本の勝手気ままな自己の利益に基づいた振る舞いが、市民の人権を破壊したのです。 極めて具体的な人権破壊は年間1mSv以上の土地から自らの被曝を軽減しようと自発的に行動した

(避難した)行為が「国の市民に対して法律で約束している責任で保護される」のではなく、「社会に対する迷惑行為」として扱われたことです。 法治国家が、法治とは逆に法で約束していた人権を切り捨てる「人権破壊国家」として権力を振るいました。 沖縄の米軍基地建設と全く同質な権力の野蛮行為なのです。ここでも法で決められている地方自治の諸規則を無視して権力的暴行が猛威を振るっています。

避難者は今現在、初期被曝の具体的に現れている健康被害/免疫力低下に苦しみながら、生活を確立すべく、健気に頑張っています。 避難者は、今までの被曝軽減についての国の積極的不作為により、法により守られるべき人権の保護を放棄されたことを、改めて訴えたいと思います。 国際原子力ロビーの行った「永久に続く汚染地域に住民を住み続けさせる」「古典的被曝軽減措置は実施しない」という、人類の英知に背く「防護せず」への逆転をこれ以上継続させてはならないと思います。

この国の、また、世界の被曝防護基準を正常に戻すことを主張します。

この正常な基準が維持できるのは、地震大国である日本から原発をなくすことしかありません。

原発を全廃できる政府を作ることが「原発事故避難者」に今課せられた仕事です。 この立場から、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の政策提案に合意した

野党共闘を支持し、市民の人権を守る政府の実現を目指すことに力を合わせましょう。

添付ファイルとして野党4党首が署名した市民連合の政策提言を示します。

             (文責 つなごう命の会 会長 矢ヶ﨑克馬)

101号新しい内閣ができ
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市民連合野党署名入り
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