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第104号 原発事故避難者通信―東電汚染水シミュレーションは撤回せよ

皆々様 お変わりございませんか?BCCで失礼いたします。 

拡散自由です。

トリチウムを含む汚染水海洋投棄に反対する

―東電のシミュレーションは関連事象を全く取り入れていなく無意味ー

福島第一原子力発電所でたまり続ける、トリチウムなどを含む処理水に ついて、東京電力は、海に放出した場合の被ばくによる影響を調べるシ ミュレーションを行い、影響は極めて軽微だとしている。(以下青字は東 電シミュレーションの記述である)


1. 倫理違反/約束違反/棄民

(倫理違反)

トリチウムを含む汚染水海洋投棄は倫理違反である。 国際協定(「国連海洋法条約」第192条には「いずれの国も、海洋環境を保護し及び 保全する義務を有する」)に違反する。

地元農漁民に対する約束違反(2015年の8月には、「関係者への丁寧な説明等必要な取り組みを行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解無しには、いか なる処分も行わず・・敷地内のタンクに貯留いたします」と東電と政府が明言)でも ある。

(産業の都合:功利主義)

海洋投棄は、ただただ原発事故とそれに関連する原発再稼働を安上がりにするために考え出された住民犠牲策・環境破壊策である。

「危害が無い」という虚言を科学的行為の振りをして「専門家?」に言 わせることによって、原発産業と政治家/企業の都合の良い海洋投棄を 正当な行為に見せかける。都合が良いとは、如何に倫理に反しようとも、 ただただ安く済めば良いのだ。住民にいくら犠牲が出たってカマやしな い。

安上がりに済めば「後は野となれ山となれ」。

「全て自己責任で始末できる」世の中になっているので、願ったり叶ったりだ。

(少しばかりの予算で人間も環境も救われる)

東電よ、政府よ、少し予算を回せ。 タンカー一隻を確保すれば、そこで安全保管を何十年とできる。

50年保管すれば放射能は16分の1程度になる。 あるいは汚染水貯蓄タンクの置き場を増やせば良い。

意図的に環境と生命/生活を破壊する「棄民」は絶対に許されない。

2. 40年間無責任な人為行為で海洋汚染を続けるのか

シミュレーションでは、実際のタンクに含まれる放射性物質のデータを 元に、計画を反映して、トリチウムの濃度を国の基準の40分の1にあ たる1リットルあたり1500ベクレル未満に薄めたうえで、年間の総 放出量を事故前の目標と同じ22兆ベクレルに設定して行った。

(40年にわたる汚染水海洋投棄)

東電発表では、2020年1月時点で860兆ベクレルのトリチウムが蓄積しているので、この数値を単純に適用しても、放出終了まで39年間必用と なる。

この40年近くの間、毎年毎年トリチウム入り汚染水が、豊かな漁場を事故では無く人の意図的行為で汚染し続ける。許されることでは無い。

(被曝を受け入れさせるための嘘のキャンペーン)

ここで確認して置くが、「100ベクレル/kg以下は安全」は完全に間違いであ る。

「放射能は体内に取り込まないことが原則です。汚染食品をヤムを得なく流通させますが、子どもや女性のリスクは大きく、弱い人は健康被害を受けます。被曝による発がんはしきい値がゼロ(放影研被爆者寿命調査14報)で確実に被害 者が出ます。特に免疫力の弱い方は命に関わるかもしれません。どうぞ、このことを御承知の上、覚悟してお召し上がり下さい」と言わねばならない。

「風評被害」と言われているが、汚染の懸念が増大すると消費者の買い控えが生ずる。

「決して風評被害払拭」などと危険を隠蔽して買い控えを悪風とみてはならない。

住民が自分の健康を守ろうとすることは、基本的人権に含まれる重要な権利である。この権利に敵対して「風評被害」と称するのは、二重の意味で悪徳行為である。

第一に大切な漁場を汚染すること、

第二に汚染の可能性のある食物を住民に強制すること。

海洋投棄で二重の害悪を迫るのでは無く、少し予算を付けて他の方法を執り、住民と環境を守ること。

わずかな予算で回避できるのに、それをせず、

意図的に投棄する野蛮行為は止めることが肝心である。

3.トリチウムは危険―有機トリチウムは体内濃縮と生物学的半減期を増大

(低エネルギーベータ線の物理的危険)

トリチウム事態の危険性はここでは改めて詳しくは議論しないが、低エネルギー放射線特有の、ブラッグピークなどと呼ばれている現象に関連して、相互作用が大きくなり放射線の飛程当たりの電離によるリスクは非常に大 きくなる。

(有機トリチウムの特殊性)

「低エネルギーだから安全」などととても言えないシロモノだ。

体内に入れば、DNA等と結合する有機トリチウムとなり、普通の水より重いた めに、結合から離脱する確率が小さくなり、濃度(組織自由水の1.5倍程度以上(植物の場合))と生物学的半減期が増大する(12日程度から40日~1年へと増大)(高島良正:環境トリチウムーーその挙動と利用、1991)。

(汚染水貯蔵タンクで有機トリチウムが合成されている)

岩倉成城氏は次のように記述する:(事故原発汚染水から高濃度有 機結合型トリチウムが生成 海洋放出で魚介類に濃縮が・・・、 2020/6/14)

  • 1. 汚染水処理水タンク内で有機物の生成と微生物の生息が東京電力調べで明らかになっ た。 ・Sr 処理水タンク K2-B1 中層【採取日 2018/10/22】をはじめとして得られた 処理水 12 サンプル全てか ら TOC(全有機炭素)検出。 ・内面点検代表タンク 【2019.2.28 再掲資料】G3-E1 をはじめとして得られた処理水 10 サンプルの全てか ら有機炭素を検出、うち 4 資料では硫酸還元菌を検出。

  • 2. 略

  • 3. にもかかわらず「多核種設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」(以下小委員会)も「東電」の検 討でもトリチウムは無機であることを前提に、海洋に放出されても生 物学的濃縮はなく、仮に魚介類に 取り込まれても生体内半減期が約 12 日で交換され る、として OBT を考慮していない。

  • 4. 水棲生物は海洋にある有機物(OBT を含む)を栄養物として選択的に吸収して増殖繁 茂し、魚介類も 同じく OBT や水棲生物を餌として摂取し、腸管から選択的に消化吸 収することから、魚介類の体内に OBT は濃縮して蓄積される。

  • 5. しかも、魚介類等に OBT として取り込まれると、トリチウムの生体内半減期は OBT 成分の半量が 403 日、残り半量は生体内半減期が 1 年となり、無機に較べて一気に 生体内半減期が数十倍に跳ね上がる。

トリチウムは安全だから「海洋放棄は許される」などはとんでもない流言飛語の類いであり、政府と核産業子飼いの原子力ムラ「専門家」等が「委 員会」を構成して吹聴する。

命を抱える住民は真実を見無ければ命が守られない。

事実を ありのままに認識することは 民主主義の土台である。


4.物理的流体的シミュレーションだけでは意味が無いー有機トリチウムの体内濃縮と食物連鎖が最重要

その結果、海水中のトリチウムの濃度が、現在の海水中の濃度より高い、1リットルあたり1ベクレル以上になる範囲は、原発周辺の2キロから3キロの範囲にとどまったという。また、海底トンネルの出口の真上付 近では、1リットルあたり30ベクレル程度の場所がありましたが、周 辺に広がる過程で、濃度は速やかに低下したという。

(物理的流体力学的挙動だけでは危険は何も見えない)

単純に拡散理論を用いて、放出汚染水の物理的流体的拡散を計算しただけでは、全く計られない重要な危険がある。

汚染タンク内に合成されている有機トリチウムの海中生物体内の増幅効 果等を考察しなければならない。

一つは有機トリチウムの生物の体内濃縮。

もう一つは食物連鎖である。

汚染タンク内では有機炭素の生成等が確認されている(岩倉政城氏、2020年6月)。有機トリチウムがタンク内で合成されているのだ。

タンク内汚染水の放射線濃度は平均で73万ベクレル/リットル程度であり、海水中濃度の100万倍程度である。

これを1500ベクレル/リットルまで薄めると体積で約500倍にしなければならない。

海水中濃度の約2000倍の濃さの有機トリチウムが放散される(岩倉政城氏)。

魚介類あるいは海藻類は選択的に有機物を吸収する。

有機トリチウムは生物的半減期も長いものは1年程度となり(上述)、体 内濃縮が短期間で100倍のオーダーになる。

(毎日摂取:海中生物体内での濃縮と食物連鎖)

生物学的半減期は、放射性物質を体内に取り入れ、排泄行為をする生物ではどんな生物にも現れる現象である。

海の生物でも必然的に現れる。

このメカニズムを持つ人間の場合、生物学的半減期を100日程度とすると、毎日1ベクレル食べていると2年後には140ベクレルに体内濃縮 される。

生物学的半減期が増大される有機トリチウムでは生物的半減期が長くなり、短期間で100倍程度の体内濃縮が成される。

濃縮された有機トリチウムを体内に蓄積する生物は食物連鎖により、さらに濃縮される。

物理的シミュレーションを行って「薄くなるから安心」なんて、暢気なことは言っちゃおれないのだ。

(放射能が関連すると思える海産物等の危険)

図1には背骨の曲がったイワシの写真を提示する(撮影:小野寺晶氏、2018年7月31日、気仙沼)。

図1  2018年7月31日に気仙沼漁協に陸揚げされたイワシ:ある市民の方がイワシを8尾買った。全てのイワシの背骨が曲がっていた。


何故背骨が曲がっていたか、原因は突き止められていない。イワシは海洋表面層のプランクトンなどを捕食する。食物連鎖も含めて多量に放射性物質を体内に取り入れた可能性は否定できない。原因が何であれ、背骨 が曲がったイワシが健康被害をもたらす可能性を危惧する。

(危険の実態を隠すシミュレーションとはなんだろう)

この様な生物学的効果が全く無視されている「シミュレーション」とは いったい何物であろうか?

まさに科学的意味での専門家の行為では無い。

まさに「海洋投棄」を合理化するために真実を糊塗する麻薬材である。ナチスドイツのホロコーストでも「専門家」が大いに役立ったという。

(食の危険;新聞記事から)

「アンダーコントロール」であり、100ベクレル/kg以上の汚染魚介類 は非常に少なくなった(100ベクレル以下のデータは発表されていない) といわれている状況で、時々ぎょっとするデータが新聞に載る:

新聞等に掲載された最近の食品規制のニュースをいくつかピックアップする:

① 2017年7月  過去最高のストロンチウム90 福島沖 クロダイ(30Bq/kg): (東電魚介類の核種分析結果、2017年7月13日)

② 2019年2月  コモンカスベ(161Bq/kg):(毎日新聞2019年2月31日) 

③ 2019年9月  クロソイ (セシウム101.7Bq/kg、ストロンチウム54 Bq/kg): (東電魚介類の核種    分析結果、2019年9月11日)

④ 2020年8月 きのこ出荷制限採取自粛(山梨県: 東電福一から300㎞): (山梨県HP 2020年8月7日)

⑤ 2021年2月 過去最高規模 クロソイ(500 Bq/kg):(時事通信 2021年2 月22日)

⑥ 2021年7月 福島県浪江町 蜂蜜 130~160Bq/kg (読売 2021年7月23日)

  山菜、淡水魚介類は今なお出荷制限されているものが多い。山海の珍味を愛する方 は要注意である。

(人類の英知は予防医学)

科学の進歩、基本的人権の確認は命の保護として「予防医学的見地を国 に求める。

憲法に基づく政府の責任は予防医学の観点である。

矢ヶ﨑の調査によれば、東電福島事故の健康被害は基本的に隠蔽されている(放射線被曝の隠蔽と科学、2021)。

露わになっている甲状腺がん一つとっても、「福島県民健康調査検討委員会」は科学原則に則らない方法で甲状腺がんを「原発事故と無関係」としている。ここでも「専門家の害悪は計り知れない」。

この様な科学を装った嘘が汚染水シミュレーションでも撒き散らされる。

専門家が都合の良い一部だけを取り出して、安全という虚構に乗って、

40年間にわたって毎年22兆ベクレルのトリチウム汚染水が意図的に流 される。

ぞっとする野蛮行為である。

漁業破壊であり、食生活破壊であり、健康破壊の海洋投棄と言わざるを 得ない。

5.内部被曝を外部被曝流に計算するとリスクは数桁小さくなる

この結果を踏まえて、沿岸で暮らす漁業者の年間の被ばく量を試算したところ、海産物を平均的に摂取する人では、1年間に浴びても差し支えないとされる1ミリシーベルトの、6万分の1から1万分の1程度になったという。 また、実際には存在しないものの、処理水に含まれるトリチウム以外の放射性物質が、被ばくの影響が相対的に大きい種類のものだけだったと仮定した場合でも、被ばく量は1ミリシーベルトの2000分の1から 500分の1となり、東京電力は、影響は極めて軽微だとしている。

(原子力ロビーによる内部被曝の組織的、歴史的、系統的隠蔽)

内部被曝は外部被曝と違い、アルファ線もべータ線も関与する。外愚被曝はほとんどガンマ線だけとして良い。

トリチウムの場合、飛程の短いベータ線が外部被曝のICRP流計算とは桁違いのリスクを宿す(矢ヶ﨑克馬:放射線被曝の隠蔽と科学)。

たった1mm以内のベータ線飛程内での、「ベータ線による集中電離」を数センチもある「組織あるいは臓器」で平均化されたならば、計算する見かけ上のリスクは数桁小さくなる。真のリスクはICRP流では計りようが無い。

シミュレーションした「専門家」氏は外部被曝様式で内部被曝リスクを計算し「軽微です」という。

計算の数値とは別に健康被害が現れるのは住民/漁民/消費者である。

軽微だという数値さえ出せば、海洋投棄はできるし、政府や原子力ムラからお褒めもあるし、幸せなんだ。

1~10万人程度の人間ががんで死んだって、多種の健康被害で寿命を縮めたって、シッタコッチャナイのだ。

(力を合わせて基本的人権を守りましょう)

東電シミュレーションは、健康を守る人格権がある「生きた人間」は到底受け入れることができないシミュレーションである。

基本的人格を破壊することを受け入れさせるシミュレーションは「茶番劇」に見えるが、海洋投棄を実施するならば、人格権/基本的人権の破壊が現実として住民に生じる。

「それはみんな「自己責任」だから」原子力ムラには関知しない事象となる。

住民の被曝規制値を20ミリシーベルト/年と従来の法律に20倍にしてくれたありがたい日本政府だ。次いでにトリチウム汚染水海洋投棄だって、国の方針 として打ち出してくれて有り難いことだ。

東電/政府は、汚染水の海洋投棄は止めなさい。

住民を愚民視し棄民するのは止めなさい。

矢ヶ﨑克馬(2021/11/20)

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