第106号原発事故避難者通信―主権者の権利とは何だ?― 2022年元旦
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 まずお知らせです。 ゆんたく学習会(ZOOM) 1月22日16:00-。1時間半くらい。 話題提供(矢ヶ﨑克馬) 「放射線被曝」に於ける『被曝しない権利の剥奪』は現在の日本社会に於けるすべての『基本的人権剥奪』に通じる」
参加を希望される方は事前に
phoenix.pmy@gmail.com へご連絡ください。
矢ヶ崎克馬著:「放射線被曝の隠蔽と科学」 著者割引 送料込みで3200円 (税込み価格は3520円) 申し込みは yagasaki888 @gmail.com まで なお、頂いている書評を添付いたします
今年は私たち主権者が主権者らしく振る舞える年にしたいと思います。 これのみが「基本的人権を守り、憲法に掲げられている諸原理を憲法どおりに生かし、戦争を放棄したはずの国が、国際紛争に巻き込まれることを防ぐ」唯一の道です。 若者もお年寄りもみんな頑張りましょう。 昨年までは,ルールを守らない自公政権の政治私物化があまりにも激しいものでしたから、国会でも真の生産的議論を行うことができない状況が続きました。 主権者の切実で信頼置ける社会の実現を求める声が「自公政治に対してルールを守ることを要求する」多大な時間/多大な緊張/多大な苦労が費やされました。 基本的人権の行使が「全て反対ばかり」という「不当な言いがかり」に表現されたように、安倍・菅・岸田政府の野蛮なルール破壊を問い質すことの無い権力追従のマスコミの権力への迎合が目立ちました。 憲法に規定されるルールが破られ、人権が犯された事々を記します。 私たちの非常に多くの努力が事態を未だこの程度に留めてきたことばかりです。 (1)自民党の改憲案は明治憲法時代に遡り ①自民党の改憲案を見ると「前文」から危険な規定が満載されています。 曰く「家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」。民主的な家族関係や夫婦別姓、性的マイノリティー等など、とんでもない国家形成違反とされ、生活権自体が親族の扶養義務に置き換えられる危険(関連14条、家族は互いにたすけあわなければならない)、天皇が「国家元首」とされ、憲法に元号が位置づけられるのです。 「戦争ができる美しい国」とは単に戦争ができるようにするだけで無く社会全体の考え方を明治憲法的に逆戻りさせるものなのです。 内容的に基本的人権が「憲法で許された権利」に置き換えられます。 とんでもないことです ②第9条では,「自衛隊が正当に位置づけられる」などはまやかし宣伝に過ぎません。とんでもない軍事国家に置き換えられるのです。 国防軍が明記され、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し」とされ専守防衛を守ることはおろか、集団的自衛権も国際的戦争への参加に対して何の制限も無くなるのです。 ③第26条では「教育が国の未来を切り開く上で欠くことのできないもの」とされ、基本的人権に基づく「教育は一人一人の可能性を全て能力として開花させる」ことの原理を破壊する国家主義的宣言が述べられます。 ④第9章(緊急事態宣言)では緊急事態と宣言した事態に於いて大権を内閣総理大臣に集中する。ドイツワイマール憲法の「緊急事態宣言」により,ナチスドイツが独裁に入った事例が異常な危機感を代表します。 ⑤自民党案『憲法改正』では日本社会全体の構造が侵略をした時代、明治憲法の時代に逆戻りする内容がいっぱいです。参議院選挙で壊憲勢力を押さえ込むことが当面の課題です。憲法問題は私たち人権の課題です。 (2)沖縄「辺野古米軍基地建設設計変更」に対して沖縄県知事玉城さんは「不承認」でした。政府の対応は、行政不服審査法に基づいて,防衛省が閣内の基地建設を共同して進める国交省に「不服」の調停を求めるという『禁じ手』が繰り返されています。 70%以上の県民の「新米軍基地建設を許さない」民意は変わりません。 (3)今年は沖縄復帰50周年―逆戻りの歴史か? ①台湾有事に石垣島にミサイルが配備されました。与那国島、宮古島等への自衛隊配備が進んでいます。敵基地攻撃能力が完備されようとしているのです。 侵略では無いが、前線基地の最新の攻撃能力の高い基地が破壊対象となります。 沖縄は再び戦場となる危険に晒されています。対中国の前線基地として再び日本から「切り捨てられ」て、軍事基地/要塞化されています。 ②コロナ禍。米軍が軍事優先で何の検査もせずに兵員移動していて、基地内外大量感染。 ③米軍貯油施設からのフッ素化合物の汚水が周辺住民地区の井戸などで検出。 日本の暫定基準の1700倍。検査も公表も自由にできない。 植民地としての日米地位協定。 日本は反共体制であるサンフランシスコ条約と安保条約から離脱し毅然として主権を確保し全方位的平和条約を締結しなさい。 戦後78年、人権蹂躙の欲しいままを日本政府が許す体制はもう止めてくれ! 沖縄県民にとって許すことのできない主権・人権破壊に終止符を打とう。 (4)原発事故11年目になろうとしています。 この間,放射線被曝から免れるはずの人権は一顧だにされませんでした。 ①民主党政権は、自民党ならば必ず行うはずの「核産業の保護」と国家予算に負担を掛けない住民保護の切り捨てを行いました。1ミリシーベルト/年の法律を無視して国際原子力ロビーの反社会的指針の「高汚染地域に住民を住み続けさせる」対処をしたのです。 ②健康被害、死亡率増加等が一切隠蔽され、国際原子力ロビーは「フクシマで 20mSvの規制で一切の健康被害が出なかった」と国際的被曝保護基準を桁違いに悪化させようとしています。 自民党が食品の放射能基準を10倍以上に緩めることを提案しています。 地球温暖化に際して,真に有効な施策を実行するのでは無く,虚偽に満ちた危険隠蔽で原発をエネルギーとして使用する,ソフト面での対応「基準劣化」で原発の維持を図ろうとしているのです。 原発は地球規模での廃絶しか道はありません。 地球を守り,命を守るためにも原発廃止を放射線被曝廃絶とともに進めるのが人類の道です。 (5)権力のルール無視・政治私物化は社会を破壊する ①昨年、「黒い雨・控訴審」で人道的にも、科学的にも、法的にも画期的な素晴らしい判決がありました。 76年を耐え抜き、主張し続けた黒い雨被災者に、司法から誠実なーーしかし、科学からみると当たり前で、遅きに失したーー見解が表明されました。 これに対し、岸田内閣は司法の最終見解よりも行政の都合を優先させる「「黒い雨」訴訟を踏まえた審査の指針改正の骨子」を示し、残念ながら広島県も市もこれに従ってしまいました。 立憲主義と称し、法治国家と称する日本の民主的建前である「三権分立」を破壊する暴挙です。 行政権力は憲法的約束事項を守らねば、その任に居る資格はありません。 ②安倍首相による権力私物化はモリカケサクラと切りがなく、公文書の書き換えを命じられ、自死した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんの妻雅子さんが起こした裁判が、岸田政府の「認諾」により事実関係を 明らかにしないまま終結させられました。 ③権力者の人権破壊の「権力行使」の姿勢は公務員全般に影響を与えます。 安倍や菅の無法な権力行使そのものに通じます。 ④この権力蛮行は、幼少から競争的環境下で社会の中での連帯を拒否され続けた犠牲者市民の犯罪として「京王線車内刃傷放火事件」、「大阪北新地ビル放火殺人事件」等々の、命のつながり、社会からの孤立を示す精神的荒廃・残虐事件の社会的背景を形成していると思います。 「戦争のできる美しい国」作りのための教育から基本的人権基盤が奪われ「服従を知られる社会関係」に着いていくことができなかった人々の姿があります。 自公政権に政治を任せて,反共国家で、人格権さえ奪われている社会関係が故に日本社会は精神的にも破壊に向かっているのです。 主権者に主権を取り戻さなければならないのです。 (6)民主主義の原理は衆知を集めること 昨年の「市民連合」の提起による「衆議院選挙の基本的政策」に基づき野党共闘が実現いたしました。 ①明らかに「共闘効果」は示されました。しかし数の上で大局として自公の支配を崩せず、立憲・共産の減退がありました。 共闘失敗!共産党は全体主義!等のマスコミの事実に基づかない大合唱がありました。 ②民主主義に立脚する議論の基礎は「衆知を集めて、正確な現状認識をし、人道的な対策をすること」です。 これを破壊するのが,「金による功利主義、大政党の数に頼んだ邪なごり押し」です。 主権者の誠実な思いを実現するには「共通点で一致し、力を合わせる」しかありません。 ③しかし,この民主主義の常道に対して,立憲民主党は有権者を民主的に導く説得的な論陣を張らず、「共産党は全体主義」と根拠無く主張する「連合」に足場を置きました。 単なる頭数あわせの権力闘争では民主主義を貫き獲得することはできません。 ④この姿勢が曖昧ならば、かつての民主党のように,自民党ならば一番やりたい「原発産業の保護」で原発事故を処理してしまった誤りを繰り返さざるを得ないこととなります。大事な基盤を民主主義に置かず「権力闘争で頭数合わせ」に置くからです。 ⑤共産党は野党共闘を実現させるために、従来は全選挙区で候補者を立てていたのに,約210選挙区で共闘を実現させました。内、共産党候補は10数名のみ。共産党候補は289選挙区のうちの90選挙区ほどに限定されました。 ある意味では比例区の票が物理的に減って当たり前と推察される選挙を行ったのです。人権を取り戻そうとして、選挙制度で行われたこの自己犠牲的な建設を私たちは無視してはなりません。 ⑥共産党はこれらのことに対して,事後に不満めいたことは一切口に出していません。これは見事なものと判断しました。 ⑦共闘のあり方として民主義陣営としての一致した有権者への働きかけの姿勢が必要です。共闘陣営の互いの配慮が必要です。 ポピュリズムといわれる反共的大衆迎合は人権破壊への道です。 ⑧戦後の日本は反共主義体制の「サンフランシスコ条約」で出発し,同時に主権を売り渡した「日米安保条約」を当時の吉田首相たった一人の文字通りの独断で結んだ日本の恥ずべき戦後です。 60年の安保改定では日本主権者の大多数がこの条約に反対しました。 ⑨1961年にはケネディーライシャワー路線が出発し,日本統治の根本戦略を見直しました。 ⑩ライシャワー曰く「自由陣営として日本統治のためには日本共産党を孤立化させることが肝要。この党に対しては、歴史的に侵略戦争反対を貫き通したようにあらゆる懐柔は困難。他のあらゆる中間政党は懐柔可能である。 ⑪我々は反対勢力を取り込み、彼らが政権を握るときには政策的には自民党の政策をそっくりそのまま継承できるように育てることが必用である。 あらゆる手立てを尽くし、10年掛かろうが20年掛かろうが我々はやり遂げなければならない。」(米軍司令官交代式でのライシャワー講演) ⑫1980年「社公合意(共産党を政権構想に含めない)」以来全くこの通りの政治が実現してきました。 ⑬日本の主権を回復することに対して最重要な課題に、今や共産党と少数政党しか基本姿勢を示すところはいなくなっているのです。 ⑭この様な歴史背景を睨みつつ、野党共闘で共産党の視点と努力は高く評価できると判断します。 反共主義の中で「反共」を唱えて国の主権を売り続ける姿勢では日本の誇りある主権の発揮は永久に訪れません。 この道は国の主権だけは無く,基本的人権を基盤とする市民主権を破壊し続ける政治です。 ⑮私たち、主権者が主権者らしく振る舞うことのみが、この地獄道から脱することができる方法です。 正しく現実を見て、適切に判断し,自分で自分の行動を決定することを致しましょう。 一人一人が大切にされる社会は私たちが作り出すのです。頑張りましょう。 今年は主権者が主権者らしい姿勢を示し、成果を見ることができる年にしたいと願います。根本にある歴史と事実を誠実に捉え直しましょう。 皆々様の尊い人としてのご奮闘を祈念いたします。 2022年1月1日 矢ヶ﨑克馬 拡散自由。
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