避難者通信76号(2020年2月22日)福島原発事故の実相①<事故原因についての巨大な虚偽>
皆々様お元気ですか?
コロナウィルスの「感染経路不明の伝染」が広まろうとしています。
伝えられているダイアモンドプリンセス号内部の汚染管理のずさんさは恐怖を広げようとしています。
皆さん、自己防衛を心がけましょう。
福島原発事故9周年に迫っています。
事実をありのままに認識することと人道、これが民主主義の基礎です。
福島原発事故で事実がどのように大切にされたのだろうか?
被災者の命と暮らしを守り、放射能から住民を守る人道がどのように発揮されたのだろうか?
福島原発事故は原発推進支配勢力の巡らした組織的な嘘と切り捨ての社会実験でありました。
9周年を前にして何回かに分けて、福島原発事故の実相を曝こうと思います。
第76号はまず事故原因についてです。
(1)地震直後の配管の破断が原発事故原因
福島第一原発は2011年3月11日に炉心冷却水を失って(木村俊雄:「福島原発は津波の前に壊れた」、
文藝春秋、2019年9月号、p.170―)、その後炉心がメルトダウン/爆発した。
木村俊雄氏のレポートは、
「メルトダウンの原因として「津波による全電源の喪失」とされるが真相はそうではない。
地震による細管の破断による炉心冷却水の喪失である」、
という事を示している。
東電が正確な事実資料を提出しなかったために、国会事故調、政府事故調、民間事故調、東電事故調では
事故原因は「想定外の津波により全電源が失われたとしているが、
真相は地震によりジェットポンプ計測配管の断裂により発生後1分30秒で炉心全冷却水が失われたことによるのが真相である。
図1 福一第1号機の過渡現象記録装置
地震前は毎時1万8千トンの炉心冷却水が循環していたのだが、地震発生後1分30秒ほどで全冷却水が喪失した監視記録が残っている。
図1では地震発生数秒後に炉心冷却水が減少し始める。図中A点で一次電源が失われてマイナスの値となるが、
約10秒後にB時点で補助電源が作動しパルス状に値が大きくなる、という電源喪失と補助電源の立ち上がりも記録している。これらの変化は電源の喪失と回復による。
C時点で冷却水が完全に喪失している。地震発生後およそ1分30秒後。初期の地震動が未だおさまらない時間帯である。
冷却水の減少の仕方から判断すると最初の細管破断は電源喪失のタイミングでさらに拡大したものと判断できる。
津波の襲来は地震発生後41分後である。津波襲来のタイミングで、二次電源を完全に失うところとなり、原発炉心メルトダウンで大量の放射性物質が空中へ海水中へと放出されるところとなる。
津波によって補助電源がすべて失われたのは事実であるが、原発の冷却水喪失は地震後わずか1分30秒後なのである。
すべての事故調に、東電側が過渡現象記録装置のデータを伏せている。過渡現象記録装置の入手は裁判のプロセスであると木村氏は述べている。
著者(矢ヶ﨑克馬)は9年前、3月25日に福島入りし、福島全域の放射能測定を行っている。
そのときの記憶として、女川原発を中心にしてきれいな放射能汚染同心円が新聞に報道されたのを鮮明に覚えている。その後2度とこの汚染地図は新聞などに登場しなかった
(残念ながら著者は記憶するのみで証拠物件は保持しない)。
女川原発でも地震による細管破断が生じたが、津波による補助電源の喪失は免れ、
メルトダウンには至らなかったと理解している。
メルトダウンには至らなかったのかどうかは別問題として大量の放射能を放出している事は間違いない。
事故原因の正確な把握なくしては安全対策などありえない。
現在福一のメルトダウンの原因は津波による電源喪失によるという前提で
津波による電源喪失を免れれば安全であるという安全基準で「再稼働」が進められている。
この安全基準は地震によって細管が破断したことに対応していない。
地震によっても細管などの破断が無い事を前提にしている。
東北地方大震災で原発が破壊された第一撃は、津波によるのではなく、地震動による細管の破断である。
細管の地震による破断に対処しようとするならば、配管すべてに耐震対策が必要であり、
原発の安全コストは膨大なものになると木村氏は訴える。
なぜこのような重大事項を東電および日本政府は隠すのか?マスコミは無視するのか?
倫理観なき政治の怖さと監視役であるはずのマスコミの倫理観なき対応の呼応に
この日本社会がとんでもない方向に進んでいることを直感させられる。
客観的な事実認識と人道は民主主義の基礎である。
原発再稼働・建設に反対いたします。
2度と原発稼働をゆるすまじ!事実と人道に反している。
ちょうど手元に署名要請が来ています。「東海第二原発、再稼働工事はやめよ」
ご協力ください。
矢ヶ﨑克馬
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