避難者通信77号、2020年3月4日 福島原発事故の実相②飛び入り版
<コロナウィルス問題処理に関して「事実をありのままに認識」することと「人道」にたつ決定機構を求め、
安倍内閣による「新型インフル特措法の改正と緊急事態宣言」に反対します。>
皆々様お元気ですか?
福島原発事故9周年になろうとしています。
セシウム137の放射線強度が10分の1になるには100年掛かります。
事故後9年はたった9年しか経っていないのです。 「オリンピックどこじゃねえ」のです。
コロナウィルスの感染防止が大きな課題となっています。
「事実をありのままに認識することと人道、これが民主主義の基礎です」
と、私は言い続けてきました。 予定していた論に入る前にどうしても今回のコロナウィルスの対応と福島原発事故後の政府対応との比較について話さざるを得ません。
コロナウィルス感染拡大に対しては「事実をありのままに」認識してそれに対応する「人道的」な施策を取ることを要求し、 安倍内閣による新型インフル特措法の改正と緊急事態宣言に反対します。
(1)安倍首相の危険性=事実に基づく認識と人道(人権/法律/当たり前の合意・手順)を実行できない。今まで民を保護したことがない(原発事故放射線被曝、農薬等々)、憲法等を自己目的で解釈変更してきており順法精神がない。3権分立などを実践的に破壊する<忖度>を強要。
① (新型インフルエンザ対策措置法「改正」)3月2日の参院予算委員会で、安倍首相が新型インフル特措法の改正と緊急事態宣言を発すると発言。 緊急事態宣言はすべての権限を内閣総理大臣に集中するものです。
② (政府の失政)コロナウイルスによる肺炎患者が確認されたのは1月15日のこと。内閣に安倍首相を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」が設置されたのは1月30日;平均12分足らずの会議時間/官僚の欠席。 台湾では既に(1月15日)指定感染症に指定し入国制限など実施している。安倍政権は2月7日まで武漢からの観光客まで受け容れていた。 ダイヤモンドプリンセス号の船内を感染拡大が展開する状態に置き、「陰性」者を下船させ、公共交通などを利用させて帰宅させた。 検査には検出限界が有り、「陰性」であっても「非保菌者」とは限らない。この間の感染事情―感染ルート不明―は発症しない状況で感染を拡大していることを示している。 伝染病予防法で隔離すべきだった。
③ (検査させない体制:異常な目的意識を疑う)6800の検査能力があると公表しているのに日量900に止め、まともに感染状況を把握しようとしていない。 重症化するまで検査しない:「まず家族に感染させてから検査に来なさい」、異常な政策が今も継続
④ (政治的独断)=事実に基づいて判断しない:利権の絡む他の目的? (例えばオリンピック)のための手段を労しているのか? <1>専門家の意見を聞かないだけでなく、 <2>文科大臣のいうことも聞かない、 <3>突然全国の小中高校に休校措置要請の独断。 <4>科学的根拠の無い施策であるからこそ: ファシズム的権力行使:典型的弱者切り捨てである。
⑤ (突然の小中高校の休校要請/命令の危険性)「新型インフルエンザ対策措置法「改正」」の「緊急事態宣言」の先取りである。
⑥ 緊急事態宣言で、集会の自由など人権が制限される恐れ:宣言およびその解除は内閣総理大臣。 事実の認識、科学的判断が行われない基盤にはその人物の教養程度が反映するが、利権の絡む独裁への大権掌握はファシズムの危険あり。
(2)福島原発事故後の「原子力緊急事態宣言」(原子力災害対策特別措置法)による人権の破壊:この件については避難者通信次号等で詳しく解説します。
① (背景)国際原子力ロビーによる被曝防護措置の強力な阻止
② (日本市民の人権)被曝に関して「年間1mSv」であったが「20mSv」に押し上げられた。被曝防護されることに関して明確な人権切り捨て。
③ (専門家集団)100%ICRP遵守者であり、ICRPの2007勧告に際して法律で定められた住民保護との矛盾を指摘するものは皆無だった。 原水禁世界大会実行委員会運営委員会代表の野口邦和氏に代表される数多くの専門家は積極的にICRP20007勧告の受け入れを説いた。 原発事故後に内閣参与に任命された小佐古敏荘氏が20mSvについて「容認すれば私の学者生命は終わり。法律を軽視してその場限りの対応を行い、事態収束を遅らせている」として辞任したことがこの分野の専門家が人道にたち、学問の自由に則って行動した唯一のものだった。 逆に山下俊一氏に代表される住民だましと権力/核企業に対する忖度の一本槍しか持たない専門家集団の独壇場となった。 山下氏曰く「放射能の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。 クヨクヨしてる人に来ます」。
(これに対してコロナウィルス問題では、感染拡大防止の専門家など、はっきりと真実を語ろうとする専門家がいるようである)。
④ (原子力緊急事態宣言の人権上の実害)原子力緊急事態宣言は年間20mSvを設定したが、これは暴政であった: ①放射能汚染に基づいた住民の強制移住に関する基準だけで無く ②被曝防護の基準にもなった。 例えば、避難強制は20mSvであるが、避難希望者には1mSv/ 年以上の汚染で認める、あるいは汚染地域も含めた日本全域の住民を食材による内部被曝を避けるための保護をする、などのきめ細かい政策は一切伴わなかった。 住民との約束事項である被曝制限値が全く適用されない社会を作り、結果として明確な「原子力災害の拡大」を増進させた。
(3)(原子力緊急事態宣言の実被害―死亡者の異常増加と出生者の異常減少放射能の被害は弱いものに集中的に現れた。厚労省の人口動態調査を解析すれば上記2項目の原因の異常人口減少が7年間で50万人に及ぶ。この被害が隠されたままだ。
(4)(安倍首相の原発事故処理指揮)安倍首相はオリンピック招致の時に事実に反する「アンダーコントロール」と「健康被害は一切無い」の虚言を弄し、その後全官庁が「食べて応援」、「風評被害払拭リスクコミュニケーション」、「放射能のホント」、「放射線読本」などでこの路線に従った。 マスコミから「放射能」の1語が消えた。 事故後5年というチェルノブイリ法が成立したタイミングで指定区域外避難者への住宅保証を停止した。
(5)事実に基づく科学的人道的判断を基本とし、それに基づいて権限を行使できるメカニズムを伴わない限り「緊急事態宣言」は基本的人権にとって危険極まりないものとなります。あくまで事実と人道に基づいた施策の実施できる決定基盤を要求します。 大権集中型の処理体制には強く反対します。
誰でも新型コロナウィルスの蔓延には反対します。
誰でも子どもを強く保護することを望みます。
しかしそれを口実として、科学的事実確認とそれに基づいた人道的施策の検討抜きにして、政治的処理が断行されることには強く反対します。
与党にも野党にもこのことを要求いたします。
安倍内閣による新型インフル特措法の改正と緊急事態宣言に反対します。
次号は、は国際原子力ロビーの<放射線「防護」から「防護せず」へ核戦略転換>の話です
(76号では事故原因を隠す巨大な嘘についてでした)。
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