避難者通信82号、2020年3月23日(9周年シリーズ最終回)
1 福島原発事故の実相⑦ 嘘で固められた世界から脱出するために
(1) まずは原点に戻ろう、―事実・人権が原点―
(2) 虚偽の世界への誘い:マインドコントロールから抜け出そう。
―風評被害という用語は使わないようにしましょうー
「風評被害」で2011年以降の死亡者の異常増加は生じません。
出生数の異常減少が生ずるはずがありません。
事実を大切にしましょう。
風評被害という用語を使わない自分を作ることがすべての出発点です。
モリ・カケ、サクラ、黒川定年延長、辺野古。すべて虚偽と政治私物化。
独裁と功利主義。民主主義のひとかけらもありません。
原発事故の虚偽は人ごとではありません。被害者はあなた自身です。
「復興オリンピック」はすべて住民被害の実態を嘘の下に隠し、
風評被害を補強する虚言は
笑っている人には放射能は近づきません。
健康被害は一切ありません。
100ベクレル/kg以下は安全です。
100mSv/年以下は安全です。
100mSv以下で放射線健康影響が現れる臨床的記録はありません。
などなど。
放射線被曝を事実として認め、それに誠実に対応する人権の「絆」を結び合いましょう。
一番大切なことは事実を事実として認め、事実に誠実に向き合い、他の市民の誠 実な対応を尊重し、お互いが人権を守る守り手になる事です。
原発を廃止しましょう。なぜ?それは放射線被曝の特殊性が故です。
原発反対を言うとき「放射線被曝で健康を失うことを避ける」合い言葉を同時に 持ちましょう。
原発事故は何だったのか?
① 国家が仕組んだエネルギー政策による事故であり、
② 住民保護のためのお金を出費しないことを第一優先する「国家主義」の下で、
③ 住民が愚民扱いにされ、住民保護基準、環境保護基準がでたらめに悪化され、
④ 法律で約束した1mSv/年を放棄して「住民の保護はいたしません」
⑤ 住民の土地を汚染して何十万の人の故郷を奪い、
⑥ 超高度汚染地域の人は帰還困難「帰ってはいけません」、 高度汚染地域以下の汚染地帯の人には、「住み続けて自力で生きて生きなさい」 指定区域外避難者には住宅保証をやめて「あなたたちには避難する権利を与 えません」という
⑦ 一切の住民保護放棄の仕掛けが「風評被害」
⑧ 放射能汚染は農漁民の天命「安全な食材」を供給することを不可能にします。
「風評被害」は天命を忘れさせる悪魔の言葉。国と東電の責任を放棄させ、 住民同士でいがみ合う「虚偽と非人道の世界」の入り口。
超高度汚染地域で当たり前の「補償」をしてもらっている人はその当たり前 を堂々と受けることができず肩身の狭い精神圧迫に陥ります。
当然保護されなければならない高汚染地住民は保護されず、生活苦も健康不 良もすべて自己責任で精神圧迫につながります。
避難した人は「社会の絆を断ち切った裏切り者」と攻められます。
「食べて応援」しない人は反社会人と攻められます。
⑨ 近隣の方がバタバタと斃れても「ストレスなどのせいです」という言葉しか 出てきません。
⑩ 住民を徹底的に痛め付ける国家主義・功利主義を住民の側で支えてはなりま せん。
政府復興庁主導の「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」
は、「原子力災害に起因する科学的根拠に基づかない風評やいわれのない偏見・ 差別が今なお残っている主な要因は、放射線に関する正しい知識や福島県にお ける食品中の放射性物質に関する検査結果、福島の復興の現状等の周知不足と 考えられます」。として「放射線のホント」を発行し強力な行政指導を行ってい ます。
。
2 既に出された「緊急事態宣言」=「原子力緊急事態宣言」は徹頭徹尾、国家・ 核産業のための都合に合わせられました。
国家予算を住民保護に当てなくて済むように、原発が維持できるように!!!
法律で守られるはずの住民の命がばっさり切り捨てられました。 強制保護(強制避難)を20mSv/年にするだけでなく、一切の被曝保護基準・環 境基準をそれに合わせました。
1mSv/年以上で被曝保護を実施したり、被曝の権利を認めたり、被害者の健康と 暮らしを守ることを一切しませんでした。
「国策事業で汚染させた責任」を一切住民犠牲に帰結させることをやってのけ る手段が「原子力緊急事態宣言」でした。(新型コロナ対策の特措法での「緊急 事態宣言」もその後に控える憲法改定による「緊急事態宣言」もその恐れが法規 定上の目的以上に危険です。
原子力緊急事態宣言も「原子力災害とは、原子力緊急事態により国民の生命、身 体又は財産に生ずる被害をいう、規定され、原子力特措法が原子力災害から国民 の生命、身体及び財産を保護することを目的とする」とうたわれているにも拘わ らず、第一優先は、国家財政および原子力発電の維持に支障を来たさない、とい う事でした。名目的タイトルとは縁もゆかりもない真逆の「国家主義・功利主 義」の住民切り捨てでした。
「風評被害」は一切の放射線被曝の害をもみ消す「魔法の言葉」です。
隣人が斃れても、親族が病気になっても、まず疑わなければならない放射線被曝 を言葉にして出すことさえあなた自身があなたを禁止します。
小児甲状腺がんも「事故と関係ありません」という大嘘を「風評被害」が大歓迎 します。
私が報告している福島はもちろん全国十万人以上の規模に及ぶ「死亡者の異常 増加」の解析結果も真実の事態を正しく認識しなければという当たり前の作業 を阻み「風評被害」は「おおぼらを吹くな」とあなたを不快にさせます。
何が実際生じている事実なのでしょうか?
マインドコントロール=虚で固められた世界の魔法の言葉「風評被害」から脱却 しましょう。
トリチウムその他の放射能を含む「タンクの水を海洋に放棄する」ことの害も 「風評被害」だそうです。
事故で緊急事態になったときに「ベント」を許すことも徹底的に原則違反です。 そのようなことを行わなければならない「商業原発」を廃止することが誠実な道です。
虚偽で住民の「承諾」を取り、人為的作業として放射性物質を環境に放出するな ど特異な脅威である「放射能取り扱いの大原則」に反する犯罪行為です。
トリチウムを除外する技術は完成しています。タンクが危険なら放射性物質を 完全に取り除すべきです。
F-35を147機買うなどとんでもない、住民と環境保護のためにそのお金を使い なさい。
オリンピックなどとんでもない、その多大な人力と予算を被曝保護と環境保護に使いなさい。
政府・東電はそのくらいの予算は出費しなさい。誠実に人と環境の保全に対応し なさい。
そして二度と惨事を繰り返さないために原発をやめなさい。国家の安全保障のために原発を行うなどとんでもないことです(原子力基本法第改定2012年)。
3 来年は「復興オリンピック」(放射能もコロナも危険。やれるかどうか?) も過ぎ、事故10年目です。
私たちは原点に立って、事実を事実と認め、人権を主張し、人道が通る世に すべきではありませんか?
一人一人が大切にされる社会を作るために、力を合わせましょう。
事実を尊重し、人道が貫かれる社会にいたしましょう。 矢ヶ﨑克馬
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